1 復活
冷え切った洞窟の中、
鍾乳石から垂れる水が音を立てて落ちる。
その最奥でローブに身を包んだ者たちが
白い息を吐いて何かを呟いている。
太い氷の柱とローブの者が一人。
それを囲むように同じ格好をした者が
2重に円を組んでいる。
その外側に立つ、ひと際目立つ老人が両手を広げた。
「さぁ、目覚めよ。人ならざるもの。
古の戦鬼。理より外れしもの。
我らが祈りをもって、この声にこたえたまえ!」
老人の合図で柱を囲む者たちが発光し、
光がつながって地面に星を描いた。
洞窟全体が共振し、氷の柱が震える。
不可思議な力で柱にひびが入り、徐々に伸びていく。
そして、大きな音を立てて柱が粉々に砕け散った。
飛び散った氷はしばらく地面を転がったが、
一瞬で気化して消えてしまう。
柱があった場所から氷は完全になくなったが、
代わりに一人の男が立っていた。
「…………」
意識がなく、倒れることすらできない男を
ローブの者たちはしげしげと眺めている。
「これが伝承にあった【戦鬼】」
やがて男の目に光を宿し、顔をあげた。
「なんだ、お前たちは」
「おい、言葉が通じるぞ。俺地と同じ言語を使ってる」
口を隠しざわつく周囲に目をとがらせて
もう一度男は言った。
「なんだ、お前たちは」