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胎動_2
「まだ終わってない!」
勝利の歓声の中で
総司令は聞こえた。
「頭も潰さないと
そいつは死なない」
敵国の姫が
精一杯に声を出して訴える。
「何を言っている」
と最初は耳を疑った。
そんなことがあるはずがないと
思っていたからだ。
しかし、あり得ないものを見る。
「い…、終わ………とも」
血を撒き散らして、
自分の胸に刺さる大剣を
引き抜いている。
抜ききったせいで開いた傷口から
大量の血を吹き出し、
口からもそれ以上の血を吐いた。
喉に詰まったものを取るように
胸を叩く度、手が真っ赤に染まる。
「………………」
「ごふっ、ふぅ。はぁー……。
俺の負けだ。戦いは終わったんだ」
何かの冗談だと思っている。
生物として死んで当然の状態を
ただ喉を詰まらせた程度に
軽く対応して、ラントは蘇った。




