魔術師_6
腹の中を直接混ぜられたような
痛みが老人を襲う。
立っていられなくなり、
老人は腹をかばってうずくまった。
「あ、すまん。もう少し加減するべきだったな」
男は殴った手をぶらぶらさせて
正しい力加減を探っている。
「俺の生きていた時代には
魔術師というのは少なくてな。
あまり戦ったことがないんだが、
そう言えばどれもかなり貧弱だったなぁ」
思い出を懐かしんでいる男の手には
倒れた老人の頭があって、
無理やり立たせようとしている。
「そら、他の魔術もやってみろ。
まさか今のしか出来ないわけじゃないのだろう」
「ごほ。な、なぜだ。
なぜワシの魔術が効いていない。
なぜ封印が解かれた」
「疑問が多いな。賢者を装ってたくせに
そんなことも分からんのか?」
馬鹿にすると言うより
男は呆れていた。
「お前が『重くする魔術』を使ったのなら、
それでも動けるように力を込めただけだ。
封印も同じこと。俺を縛りつけるなら
壊してしまえば問題ない。
ただそれだけのことだ」
「力業、だと!?
そんなこと、出きるわけがない。
魔術とは人を超越する神のみわざだぞ」
「そんなことはない。
現に使っているのは人だ。
人が作ったものを人が破れん道理はない」




