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希望_6
異音で苦しむラントは
たまらず掴んだ剣を
総司令ごと放り出した。
反射的に放したため、
投げ出された総司令は
空中で一回転し容易に着地した。
「《超振動》を付けた剣に触れて、
その程度で済むなど、やはり化け物か」
「振動だと!?」
総司令は魔術を使い、
大剣の表面に高周波の振動を加えていた。
それにより対象との摩擦が小さくなり、
切れ味を何倍にも跳ね上げる。
その原理をラントは知らない。
そして、重要な点はそれではなかった。
「打ち止めか?」
「まだまだ!」
大剣の輝きが一層強まる。
不規則に揺れて乱反射することで
生まれた光が虹色に干渉しあう。
気高い意志と希望を乗せた美しい剣閃と
我欲を満たすために力を極めた無骨な拳が
ぶつかり合う。
両者はほぼ互角で
長丁場になるかと思われた。
「うっとうしい!」
しかし、打ち合いを嫌がり
ラントは愚痴をこぼした。
触れるたび、背筋に寒気を
感じさせる不快な音が伝わる。
生物の本能としてこの音に耐えることは
ラントにも不可能だった。
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