獣狩り_8
目に留まらぬ速さでラントの頭を曲げたものは
木の実ほどの小さな弾だった。
頭を起点に身体ごと回されたラントは
狙撃されていたのだった。
「くぉっ!?」
にもかかわらず、顎の先に小さな擦り傷を
作っただけで頸椎を折ることもなく
ラントは健在していた。
作り上げた大岩をはずみで一度手放してしまったが、
すぐに持ち直して踏ん張った。
無防備な状態で撃たれても
目立つ外傷を作らない。
ラントをまだ人間と扱うなら
彼以上に強靭な体を持つ人間は存在しない。
しかし、それでもラントの体は
あくまでも人間の物だ。
「~~~~~ッッッ!」
ラントは歯を食いしばり、
鬼の形相で脂汗を流していた。
(目が回る。体が動かん)
視界がぼやけて足がふわふわしている。
ラントは顎を擦ったことで
脳震盪を引き起こしていた。
どれだけ強くても動きを命令する
脳が機能しなければ無用の長物。
十分な力を発揮できず、
自分の作った大岩に潰されそうになっていた。
「うわ、すごい。耐えたよ。
カッコつけて撃ったのに恥ずかしいなぁ」
「ですが少将。敵はかなり苦しそうです」
「当たり前だよ。少しは効いてくれないと
長いこと生きてる僕の立場がない」
はるか遠方よりラントを瞳に映すものが二人、
木の陰に隠れていた。
「獣を仕留めるには油断した時を狙うのが
昔からの知恵なんだよ」
ラントを照準に捕らえ、老兵の狙撃中が火を噴いた。
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