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絆_3
ラントは昔を懐かしむように
自分が負けた時のことを語った。
「世界のためだとか、
友だちの仇だとか。
理由はいちいち覚えてないが、
そういう奴らに何度か挑まれていると
そのうち数回は負けた。
偶然、足場が悪くて避けられなかったり、
仲間を犠牲にして一太刀浴びせられたり。
いや、負けた言い訳ではない。
運も徒党を組んでいることも
全て実力があって伴うものだ。
俺はそれを奴らに求めている」
会話までは聞こえていないが
目の前の戦場では元は同じ国の人間同士、
青臭い義理人情に
花を咲かせていることだろう。
内容には全く興味はないが、
極限状態でそういうドラマが起こることに
ラントは期待していた。
どこまでもラントの身勝手に振り回される
連合国の兵士たちは
また多数の脱落者を出したが、
半分以上は乗り越えられた。
再び予想以上の結果を出されて
喜ぶラントにヒメは聞いた。
「次は何をする気なの?」
「え? 何だと? 決まっているだろう。
力及ばずとも勝つ要因はある。
絆とーー」
ラントはただの木の板を
敵軍の真ん中に投げた。
本当に何の変哲もない板は
一度地面に刺さり、倒れた。
「運だ」
ラントの言葉で板の着地点から
倒れた方角の兵士が
前触れもなく消え去った。
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