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試練_2
上官から命令されて、
兵士たちはひたすら前に走った。
ただ真っすぐ敵が待つ砦に駆けていく。
「ッ! 来るぞ!」
大きく展開された陣形でも
その全員が感じるほどの地響きが
広範囲で起きた。
「止まるな! 走れ。走れ!」
逃げ場がどこにもないことを知って
発した言葉をどれだけの兵士が理解できたのか。
その答えはすぐ分かることになった。
「地面が沈んでいく!」
兵士たちの行く手に
突然、砂地獄が阻んだ。
滑り落ちる土が岩も草木も関係なく、
領域内の一切を下へ引きずり込んでいく。
巻き込まれる物。免れた物。逃げ出す物。
統制を取っていたはずの軍隊は
一気にそれを失った。
ここまでがラントからの贈り物の前準備。
引き返す兵士が自分を隠す影に気づき、
振り返った。
「あ、ああ」
あるいは見ない方が幸せだったかもしれない。
平地に穴を作れば何が出来るか。山だ。
砂地獄の中心から巨大な山が、
そびえ立っていた。
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