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試練_1
「状況、開始!」
号令が上がり、兵士たちが進行する。
それは離れた砦からも見えており、
ラントは悠然と眺めていた。
「予想より早い。まずは良し」
四方の壁と天井を破壊して、
ラントが奪い取った部屋は明け透けになっていた。
通信で見せたままの姿で
ラントはそばに立つアイサとヒメに語った。
「軍隊とはすなわち戦う群れ。
たとえ一騎当千の兵だけで構成させても、
群れにすることでその質は下がる。
これも時代で変わらんだろう」
王国で戦った魔術師一人と
連合国内で戦った砦二つ分の戦力。
象表と精鋭の違いはあっても
純粋な戦力としては後者が上のはずだった。
けれど、明らかに苦戦した方は前者。
その原因は『集団にいる安心』という、
はっきり言えば油断だ。
「群れとしての質、純度を上げる方法は二つ。
危機感を持たせるか、間引くか。さて……」
ラントが軽く手を開いた。
それだけで地鳴りが響いた。
「何人生き残ってくれるかな?」
立ち向かってくれる敵へ
ささやかな贈り物が出来上がる。
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