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魔術師_3
纏っていた布は焼け焦げて無くなったが、
男は表面に着いた煤を払うと
自分の引き締まった筋肉を見せつけた。
「戦う相手に容赦してはいけない。
特にそれが格上の相手なら
遊ばず、死力を尽くせ」
「バカな。なぜ無事なんだ」
「何故も何も。封印のせいで力は
だいぶ制限されているが、
戦いの経験は全て体に残っている。
やせ我慢をすれば
今の攻撃ぐらい何度でも受けられる」
「やせ我慢って。やっぱり痛いんだろ!
どうして耐えられる!」
魔術師たちは今、老人から叱られた言葉を
忘れて、必殺の魔術を行使する。
焼ける、切られる、打たれる。
それでも男は笑いながら、
弾幕の中を走ってきた。
「痛いからなんだ!
だから戦いは面白いんだろ。
自分の手で戦わない奴らには
分からんかなぁ!」
人程度の重さなど気にせず、
男は魔術師たちを凪ぎ払う。
「ふはは。おうっ!?」
急に姿勢を崩し、その場で這いつくばった。
「お前、何をした」
「おふざけが過ぎたな。猿め」
地面に張り付く男を
魔術師の老人が冷たく見下ろしていた。




