準備_8
どこの陣営が最も大きな功績を
出せたかで、その後の発言力の
強さが変わる。
まだ勝ってもいないのに
そんなことを考えている場合ではないが
どうしてもそこは気になっていた。
「結局、顔を付き合わせて打ち取る
のがどの点から見ても一番ってことだ」
「なるほど。それで、
勝てるのですか?」
そこで総司令官は押し黙った。
どう戦うにしても勝たなければならない。
そのための軍議を今まで続けていたのだが、
肝心なことは言わなかった。
戦おう、ではなく
勝とう、とは言わなかった。
「……いいや無理だな」
誰にも言わなかった予測を
最も信頼する部下一人にだけ言った。
「無理だが戦わなければならない。
蹂躙されるからな。
いつか死ぬという理由で
諦めるのと抗ってわずかに生きながらえるのでは
生き様が違うだろう」
まもなく戦いを始める頃、
総司令官は立ち上がった。
「覚悟、ですか」
その傍を補佐官が追従する。
「ああ、だが死ぬ覚悟じゃない」
「生き残る覚悟、ですか?」
「そうだな」
自分ではなく大切な者が生き残るために戦う覚悟。
死という安息で止まることを許されない覚悟。
補佐官はそんな前向きな意味を込め、
笑みを浮かべて言った。
しかし、それに頷く総司令官は全く笑わなかった。
(何の根拠もねえただのカンだが。
生きるとか死ぬとか
その程度じゃすまない何かが起こる)
総司令官は全滅した方がマシかもしれない
という恐れを持ちながら、
それでもラントという敵を倒すために、
見極めるために戦場に出た。
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