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魔術師_2
「どうかお考えなおしくださいませんか?」
「意味はないが、嘘は言いたくない。
やると言った以上、必ずやる」
「そうですか。とても残念です」
『サンダードラグーン!』
「お」
魔術師たちが杖を掲げて
雷の龍を生み出した。
目の眩む光を放つ牙が
男を貫き、肉を焼いた。
悲鳴もなく男は黒く焦げて倒れる。
目前の脅威がなくなり、
その功績を誉めてもいいのに
老人は魔術を使った者たちを叱った。
「馬鹿者。殺しても問題はないが
消し炭にするやつがあるか。
まだあれには利用価値があったと言うのに」
「いや、そいつらは正しい判断をした」
老人を指摘する声が
予想外の方向から聞こえる。
肉の焼ける臭いを漂わせる
炭の塊から聞こえた。
「これが魔術か。
なかなか良い攻撃だったぞ」
黒い炭の球体のなかで白い歯が輝いた。




