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ルイーザ 第十三部 第四章

 その時、天幕の外に異様な気配がしだす。


 それとともに雨が降り出した。


 外の異様な気配はより凄まじくなってきた。


「これは……」


「お戻りになられたみたいだな」


 カルディアス帝の呟きに魔王クルシュが頷いた。

 

 そして、天幕の外に出ると外の異様な気配に向かって跪いた。


「おぅ! 今戻ったぞ! 」


 雨が土砂降りになる中、怒鳴り声が聞こえる。


 水龍神ラトゥースであった。


 女神の目が凄まじい怒りに燃えていた。


 全ての八頭の龍が荒ぶっており、どれほど怒っているか分かる。


 あるものを見てしまい、カルディアス帝とコンラート皇帝とロイド法王とクリトラオスがドン引きする。


 水龍神ラトゥースの手に鎖が握られており、その先に顔面がボコボコになって曲がった銛を持った海神バルバトースがいた。


 早速の再戦でボコボコにされたらしい。


 痛々しい姿であった。


「もう、報復したんですか? 」


 麗王がそう呆れたように突っ込んだ。


「当たり前だ」


「同じ水神系の神様なのに……」


「いや、貴様とて似たような性格であろうが! やられたらやり返す……」


 水龍神ラトゥースが麗王にそう突っ込んだ。

 

 ロイド法王とコンラート皇帝とカルディアス帝がそれに思わず頷きそうになって、慌てて麗王のじろりと睨む視線を感じでやめた。


 勿論、魔王クルシュもだ。


「本当に、どこが可愛かったんですか? どのあたりが良かったのか、お聞きしたいのですが? 」


 クリトラオスがメモを持って魔王クルシュに取材のように聞いた。


 演劇の参考にしたかったのだろう。


 皆が目を背けた瞬間に麗王の蹴りで顔がひしゃげて血まみれになったクリトラオスが転がった。


「ひぃっ! 」


 魔王クルシュを始め、カルディアス帝やロイド法王とかコンラート皇帝がさらに顔を逸らす。


「ほらぁぁぁ。お前も似たようなものでは無いか。でないと、あの酒と武の神バルカスが惚れこまんわ」


 そう嬉しそうに水龍神ラトゥースがにやりと笑った。


「いや、あの神の話はやめていただきたい」


 そう自分の守護神である武と酒の神であるバルカス神を毛嫌いしていた。


 魔王クルシュは、昔の麗王は身体に敵が掴むところが無いのが良い所だと言ったのを根に持っているのだなと思ったが、口に出さなかった。


「まあ、良い。当然、貴様も教王は許さんのだろうな」


「それは勿論ですよ」


「ふははははははは、ならば良い話をしてやろう。こやつが全て吐いたわ! 契約の時には自分の立場を守護する神に自然と心の中をさらけ出す事になるからの! 」


 そう、水龍神ラトゥースがチャリチャリと海神バルバトースを縛る鎖を持ち上げた。


 何があったのか考えたくないが、海神バルバトースが濡れて震える子犬のようだった。


「奴の背後に厄介なのがおったわ! それを教えてやる! 奴等に援助している者達もな」


「四大守護者が魔物であるから、それは明白なのでは? 」


「いや、違うな一神教の神であるアッシュル神だ」


「え? 」


「そんな馬鹿な! 」


「え? 」


 魔王クルシュや麗王だけでなく、カルディアス帝もコンラート皇帝もロイド法王も凄い顔をして固まっていた。


 それほど想定外だったからだ。

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