表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

83/176

ルイーザ 第十一部 第二章

「ふはははははははは! どうした、海神バルバトースよ! 防戦一方では無いか? このままそこに居る教王とやらの生まれ変わりが死ぬまで戦い続けるかぁぁぁ? 」


 水龍神ラトゥースの叫び声が響き渡る。


 正確に言うと強力なテレパシーであるが……。


 海神バルバトースが必死に自分達を守る結界をさらに強くした。


 戦力差は圧倒的だった。


 凄まじい波風と叩きつける様な雨が、海神バルバトースの結界に叩きつけられる。


「く、糞っ」


 結界を強くしただけの海神バルバトースが呻く。


 海神にも沢山の神々がいらっしゃって、海神バルバトースは古き神ではあるがそれほど強い神では無かった。


 対して、水龍神ラトゥースは水神の中でも屈指の存在である。


 台風を待つ子供達のワクワク感もあるが、洪水による豊穣などの圧倒的な感謝の祈りが水龍神ラトゥースの力を強大なものにさせていた。


「ふはははははははは! かってのように食料と水の為に仲間を殺すか? 教王! 貴様は自分が生き残るためには平気で仲間を切り捨てていたな! そんな奴に仕えたのが全ての間違いと言うものよ! 」 


 その水龍神ラトゥースの言葉で陣営が洗脳されているとはいえ一部が動揺した。


 洗脳の結果とは言え主君を裏切る負い目を持っていてるものもいる。


 その者たちはその言葉でさらに心が揺らいだ。


 新興宗教などで洗脳されたものは何度もこれで正しいのかと自省するものが多い、しかし、その宗教を信じて信仰として尽くしてきた自分が愚かであったと認められないプライドが、それが間違っていたと認めれなくて、信仰に戻させてしまうのだ。


 それが、ここでも起こっていた。


 今更、皆は引くには引けないのだ。


 そんな、裏切ってきた部下や元々王国の近衛の連中などが、アルフォソ王子の姿をした教王をじっと見る。


 だが、教王は笑っていた。


 彼は魔道の力だけが凄かったのではない。


 どちらかと言うと、それ以外の戦略眼がさらに凄かったのだ。


 だから、手は打っていた。


「加護を得たものは、その加護を与えた神の御業の中でも動けるそうですな」


 そう教王が笑った。


「ふはははははは! だから、どうした! 」


 水龍神ラトゥースがそう嘲笑った。


 それと同時だった。


 水龍神ラトゥースの脇腹を投げ槍が貫いた。

 

 それは龍が彫られた柄をしていて、赤黒い槍だった。


 そして、脈打っていた。


「こ、これは……神殺しの槍? 」


 水龍神ラトゥースが血を吐いて呻く。


 下半身の八本首の竜神達のそれぞれの頭も同時にのたうった。


 水龍神ラトゥースが振り返ると、岩の上にウロコを持つ海底人がいた。


 海底人の長にして勇者であるギゴである。


「我々は貴方への信仰を捨て、海神バルバトースへの信仰に変える。貴方はあまりにも身勝手すぎてついていけない」


 海底人の勇者ギゴが叫んだ。


 それととも、荒れ狂う海の中で海底人達が次々と現れて一斉に銛を投げた。


 それは海神バルバトースの持つ銛に見ていた。


 だが、それらは流石に水龍神ラトゥースの力によって弾かれた。


「貴様! 今まで与えていた加護を! 貴様らに与えていた幸運を! 」


「そんなもの貴方の与える害の方が大きい! 」


「おのれっ! 」


 水龍神ラトゥースがブチ切れる。

 

 それと同時に水龍神ラトゥースの加護が消失した海底人達は波に次々と飲まれていった。


 海底人なので鰓呼吸は出来るのだが、水龍神ラトゥースの作った渦がそれを不可能にした。


「ふはははは! ご自分の悪行をお考えになられた方が宜しいのでは? 」


 そう教王が笑った。


「おのれぇぇぇ! 」


 水龍神ラトゥースが自分に刺さった神殺しの槍を見て、血を吐き叫びながら身もだえして海に落ちていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ