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ルイーザ 第九部 第七章

「え? 」


「は? 」


 魔王クルシュ達が一斉に唖然とした。


「断るって……何をですか? 」


 まるで、氷のような冷やかさで麗王が突っ込んだ。


「よいか。我が貴様らに味方した理由を思い出せ」


「教王の教団で貴方がずっと悪神として罵られていたからですよね」


「何だ。覚えているでは無いか」


 拍子抜けしたように水龍神ラトゥースが驚いた。


「当たり前ですよ。私も武王の横で延々と貴方の愚痴を聞きましたし。でも、我らの前世の世界でも、自分の信じる宗教以外の神は大体、どこも悪神や悪魔扱いですし、そう言うのは普通の事ではありませんか? 」


 麗王が冷やかに答えた。


 そうなのだ。


 キリスト教の悪魔は大体他所の民族とか宗教の神の事だし。


 特に戦国時代に日本に来たカトリックの宣教師は当時本国に当てた手紙で、日本には最大の悪魔がいて、それが手強いと報告している。


 ちなみに、弘法大師空海である。


 彼のせいで、民がキリストを信じないと愚痴すらあった。


「ふふふふふ。お前に言ったな。我は自分の事は自分でするべきだと。神と言えど他人の力を使ってインチキをしてはいけないと」


「ええ」


「ならば、これは私の事だ。ずーっと悪魔悪魔と言われて、悪神と呼ばれて……ずっとずっとブチ切れていた我の為の戦い。それが今。あえて言うなら、時は来た」


 そう水龍神ラトゥースがそう答える。


「は? 」


「やっと、やっと奴らに報復できるのじゃ。大体、加護を与えたものに手を貸すだけが神ではあるまい。神とは誇り高く敵を葬るものじゃ」


「え? 」


 流石の麗王もちょっと考えの違った方向の話に驚いていた。


 そして、ポツポツと雨が降り始めた。


「ちょっとぉぉぉぉ! 向こうには洪水を避ける建物だってあるんだから、そんな事ではっ! 」


 麗王が声を荒げた。


「ふふふふふふふ、神の力を見せてくれるわ。いよいよなればオルスの北部ごと沈めれば良い」


 水龍神ラトゥースが笑った。


 慌てて、魔王クルシュが跪くのをやめて、後方の馬車に走って、そこに居る数羽の伝書鷹を放した。


 雨が降る前に大外で行かせなければならなかったからだ。


 魔王クルシュは殴り書きで手紙を書いた。


 逃げてぇぇぇと書いて……。


「ちょっとぉぉぉぉぉぉ! 神様がこんな事したら駄目じゃないっ! 」


 これまた、いつもの冷静な麗王の言葉ではなく、昔の素の女子高生だった頃の叫び方で叫びまくっていた。


 だが、雨は土砂降りに変わった。


 そして、それはまたバケツの水をこぼしたようなものに……。


「ふはははははははははははははは。我がここで雨を降らす。しかし、下流では何のことか分かるまい。これが鉄砲水と言うものぞ。下流は天気なのに、膨大な水が怒涛の如くオルス北部を襲う。これで、あの糞忌々しい教王とやらも海にながされドンブラコ。何もかも流されてドンブラコ。四大守護者も流されてドンブラコ……」


 などと、すでに自分で酔っちゃって、歌を歌いながら雨を酷くする事しか考えていない水龍神ラトゥースだった。


「ちょっとぉぉぉぉぉぉ! 」


 麗王がそうやって叫びまくっていた。


 だが、水龍神ラトゥースは全く聞いて無かった。


「もう、諦めろ」


 魔王クルシュが半狂乱になって怒っている麗王を止めた。


 そして、雨の方が凄くて声がまともに通らなくなり、とにかく救援にと強行軍で雨の中を魔王クルシュが先導してスタンリー公爵軍の今いる兵達と森の中のゲリラ戦用の道を進んだ。


 とりあえず、雨を避けて最短で戦っている場所に向かう事になったからだ。


 そうやって、全力で突っ走るスタンリー公爵軍の兵站でついてきていた最後尾の荷馬車に、沿道で用意していた酒樽がすぅっと勝手に次々と積まれていくのに誰も気が付かなかった。

 

「わしもそろそろ暴れたいのぅ」


 そう、誰も気が付かない所で声がした。


 それは大雨の音でかき消えてしまった。

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