ルイーザ 第九部 第五章
「馬鹿な? まだ洗脳されている将軍がいたのか? それとも香で洗脳したのか? 」
カルディアス帝がそう焦った。
「いや、香の匂いはしませんでしたが……」
そうクリトラオスが答えたる
「はははははは、我は洗脳されておりませんぞ! カルディアス偽帝よ! 」
「いや、偽って俺がカルディアス帝だけど! 」
「そう言う事は言って無いんじゃないですかね? 単に教王が正統なら貴方などの帝王とか王って全部偽物になるじゃないですか」
バルズ将軍が叫んだのに突っ込んだカルディアス帝の言葉を冷ややかにクリトラオスが突っ込んだ。
「いやいや、あいつこそ、偽物じゃん! そもそも世界制覇なんか、あいつらはしてないのに! 」
カルディアス帝が教王のいる辺りを指差して叫んだ。
「いやいや、そう言う風に部下の話を納得しない所が良くないのですぞ? 」
「いやいや、裏切った奴に言われたくないわっ! 」
「ですから、私は裏切ったのではありません。最初から縛王……いや教王様に従っていて、そのご指示でクシャナ帝国の軍に入り、将軍になっただけですから」
バルス将軍が笑う。
「いやいや、俺への忠誠が嘘だったって事じゃん! 裏切りじゃないかっ! 」
「いやいや、陛下。素が出てますぞ……」
子供みたいに叫び返すカルディアス帝をクリトラオスが冷やかに見た。
「ちっちっち。貴方は二番目に崇拝する御方。残念ながら私が一番目に崇拝するのは教王様だっただけです。一番崇拝する方に言われたらしょうがないですよね」
指をメトロノームのように動かして、微笑みながら自分の論理を正当化するバルズ将軍だった。
「何、その論理っ! 」
「いや、だから、いつものお洒落で余裕のある貴方はどこに行ったんですか? 」
ガキみたいに騒ぐカルディアス帝にクリトラオスが突っ込みまくる。
「まあ、そういう実は子供っぽいとこが好きだったんですけどね」
そう、バルス将軍が投げキスをカルディアス帝にした。
「あいつ、キモーイ! 」
カルディアス帝がバルス将軍を指差して叫んだ。
「いや確かに」
「殺そう」
そこまで一気に話を進めると、カルディアス帝が雷神ベルクナスの雷を全身の鎧に纏わせた。
馬に着せた鎧にすら雷が纏う。
まるで雷を全身に帯びた姿になった。
「雷神ベルクナスよ! 力を貸し給えっ! 」
全身に雷を帯びたカルディアス帝がその場で剣を抜いて振り下ろした。
凄まじい稲妻が走った。
だが、それは黒い渦に吸い取られる。
その黒い渦は突然に目の前に現れた四大守護者と呼ばれた男から出ていた。
「貴様の力はこの場では危険すぎるのでな」
その<黒きもの>と呼ばれる四大守護者の一人がカルディアス帝と対峙した。
「お前、昔に戦って俺が倒した奴だな」
「ほほう、覚えていたとは光栄」
そう無表情だった四大守護者がギギギと表情を崩して笑った。
「また返り討ちにして……」
って言ってるとこに、護衛の僧兵とともにロイド法王が来た。
「おおおお、こちらにも四大守護者ですか。私の所もさっきまで戦ってましたよ。まさか、僧会に元からの裏切者がいるとは……」
ロイド法王が呻く。
先ほど攻めて来たのはその裏切った僧会の僧兵だったようだ。
戦いながら、ロイド法王はここへ来たのだ。
「え? 」
カルディアス帝が驚いた顔をした。
「おおお、ロイド法王の所もか」
そうコンラート皇帝がそう近衛とともに斬りこんで来た。
彼も同じようにして裏切り者と戦って来たようだ。
「いやいや、お前らがここに集まったら、仲間の兵もここに来るんだから、逆に敵の包囲殲滅の陣形が完成するじゃん! なんで、来るのっ? 」
カルディアス帝が二人に叫んだ。
3つの勢力が裏切者と戦いながら、味方が一か所に集まってしまうのは、敵の勢力に包囲されたのと同じなのであった。
「あ? 」
「あら? 」
コンラート皇帝とロイド法王が素の顔で驚いた。




