ルイーザ 第七部 第九章
投稿したはずなのにされてませんでした。
すいません。
「どうぞ? 」
そう力なく、魔王クルシュが天幕の外の人物に声をかけた。
そこには黒髪をショートにした、印象的な雰囲気の目をした美しい少女がいた。
その少女は、おずおずと頭を下げて持って来たガラス製の水差しとコップを乗せたお盆を持っていた。
その姿に何故か、魔王クルシュが見覚えがあって、首を傾げた。
そうしたら、その子は魔王クルシュの剃り上げられた頭を見て、いきなり噴出した。
「あ、ごめんなさい。ちょっと驚いてしまって……」
別に、僧会がいるので頭を剃っているのはおかしい姿では無いはずだったのに、その子は何故か笑った。
「ああ、頭がおかしい? 」
ちょっと、不思議そうに魔王クルシュが自分で剃った頭をなでながら、少しだけ力なく苦笑した。
「す、すいません。ちよっと知っている人に似ていたので……」
そうやって、申し訳なさそうに頭を下げたが、優しく笑っていた。
それを見て、魔王クルシュはまたデジャブのように不思議そうに見ていた。
「……ええと、ひょっとして、どこかで会った事がある? 」
魔王クルシュがふと聞いた。
デジャブのような感覚に支配されてるように聞いてしまった。
「私の事を……覚えているんですか……」
そう、その少女は泣きだした。
「え、え? 」
魔王クルシュが混乱した。
間違いなく、この間顕現しただけで、それ以外はルイーザと城のメイドさんとかしか魔王クルシュは会った事は無かった。
それ以前も霊体でうろうろしていたが、この少女とは会ったことが無いはずだった。
だが、何故か覚えている。
自分の良く知っている人だと言う感覚があった。
不思議だった。
そして、その少女はいきなり、優しく魔王クルシュに口づけをした。
「え? 」
「……愛してます……」
そうその少女は囁いた。
「は? 」
魔王クルシュは困惑しきっていた。
「ウウウウーッ! 」
雌犬の子犬のルイーザが吠えた。
キスしたのが、主が攻撃されたと思ったのか、それともルイーザだけにやきもちを焼いてくれたのか。
「よしよしルイーザ。良いんだ」
そう魔王クルシュが雌犬の子犬のルイーザを撫でた。
「ルイーザ? 」
その少女が一瞬ザワと殺気立った。
それを魔王クルシュは見逃さなかった。
魔王クルシュはそんな情けない状態でも、流石の武王だった。
そうしたら、その殺気立ったのを気が付かれたと思ったのか、その少女は天幕から走り去った。
「え? どう言う事? 」
何故殺気立ったのか。
そして、走り去ったのか。
魔王クルシュは心に引っかかった。
そして、それ以上に、そうやって、同じような事が昔あったような気がした。
それは不思議な感覚だった。
天幕を走り去ると、オルス帝国の奥の建物に入って、あたりを見回して誰もいない所で、黒髪のショートカットの少女は一息ついた。
何か凄く悔しそうな顔を浮かべたのと、そして、胸をぎゅっとする様な仕草を強く強くした。
凄く凄く大切なものを見つけたような仕草だ。
「ほう、やっと素直になったようだな」
そう、壁の陰から、髪の長い騎士のような恰好をした女性が現れた。
それは、ルイーザ、いや麗王だった。
「お、お前はっ! 」
少女が激しく憎悪を振り絞ったように叫ぶ。
少女に凄まじい殺気が迸った。
「なるほど、見た事があるな。それがお前の本当の姿か? 縛王 」
麗王がそう優しく笑った。
「お前がっ! お前がいなければっ! 」
そうショートカットの美少女はさらに憎悪を込めた凄まじい顔をして、胸から短剣を抜いた。
二人は、誰もいない、災害で壊れたオルス帝国の北部の建物で睨み合っていた。
これで第七部は終わりです。
続きは来月投稿予定です。
宜しくお願いします。




