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ルイーザ 第七部 第七章

「な、なんで、奴がここにいるんだ? 」


 最側近のクラトリオスとともにカルディアス帝がドカドカと靴を鳴らして、ロイド法王の天幕にやってきた。


 天幕からすすり泣く声がした。


 それで、カルディアス帝と皆の足がぴたっと止まった。


「え? 」


 その声はもう三百年は経っているとは言え、元友人であったカルディアス帝にもすぐ分かった。


 ああ、泣いちゃったか。


 実は三百年前の抗争の時の前の前世の記憶で、魔王クルシュは麗王関係には思いっきり情けないのを思い出してカルディアス帝は苦笑していた。


 そう言えば、そうだったなと。


 喧嘩も武道も戦争も強かったけど、惚れ切った彼女には全然駄目なのが、魔王クルシュと呼ばれ武王とまで呼ばれた彼の友人の特徴だったのを思い出して、カルディアス帝というか華王は苦笑した。


 だが、カルディアス帝の側近のクラトリオスなどは、一度会った男の言葉や特徴はすぐに覚える方なので、あの魔王クルシュがすすり泣き? と動揺しまくっていた。


「まあ、あれだ。あいつは麗王だけは駄目なんだ。昔からずっとだがな」


 そうカルディアス帝が驚愕しているクラトリオスに囁いた。


 クラトリオスは泣いているのが魔王クルシュだと言うのをカルディアス帝が認めたので、さらに動揺していた。


 魔王クルシュが封印される前の凄まじい怒りの戦い方は大切な大切な麗王を殺された為に凄まじいものだった。

 

 そして、得てして、そういう伝承が残っていると、それはさらに大きく伝えられるものだ。


 だからこそ、その膨れ上がった伝承と今の魔王クルシュのすすり泣きが信じられなかったのだ。


 カルディアス帝も苦笑していたが、彼には理解できない話だった。


 彼はもっと豪華な女性が好きだった。


 麗王は美人だが、完全にタイプが違って、武王があれほど惚れているのを不思議に思っていた。

 

 カルディアス帝は一人の女性に愛を捧げるなんて価値観は全く無く、ゴウジャスな肉体を持つ女性を沢山侍らせて、それで満足と言うタイプであった。


 だから、魔王クルシュの恋愛観は完全に理解を超えていたのだ。


「まあ、あれだ。ちょっと、話せない話もあるだろうから、俺が聞いてくるんで、お前達は別の天幕で休んでいてくれ」


 カルディアス帝がそう苦笑した。


「いや、しかし、魔王クルシュはあの最強クラスの武人で……」


「麗王の事になると、一番駄目男になるのがあいつなんだ」


 そうクラトリオスにカルディアス帝が笑いかけた。


 それはクラトリオスにしてもカルディアス帝が初めて見せた、仲の良い友人に向ける顔で驚いた。


 まるで、前世のさらに前世の世界の同じ学校の同じクラスの友達だった頃のようにカルディアス帝は思い出していた。


 ある異世界からの学校の教室ごとの召喚で彼らは異世界に転移させられた。


 クラスメイトは34人いたが、転移途中で半分が耐えられずに亡くなった。


 そして、訳の分からない魔物や変な教団の連中に襲われて、残りの17人は彼ら6人だけを残して皆が亡くなった。


 それは後で分かったのだが、これは召喚した者がやった優秀な個体を残す為の選別だった。


 彼らはその世界の最悪の魔物から世界を守るために、当時一番力を持っていたある教団の教祖の召喚魔法で呼ばれたのだ。


 そして、彼らはその最悪の魔物を六人で協力して倒して、教団の信認を得た。


 その過程でそれぞれ神の加護も得たのだ。


 そして、それらの教団の兵を率いて、彼らは魔物の傘下のものを倒す為に、世界に散った。

 

 だがそれは、彼らの策略だった。


 彼らはそこで力をつけて、教団から兵力を奪い、そして、教団も協力して滅ぼした。


 そして、全てを統べる六王を名乗った。


 この時までは親友と呼べる仲だったのだ。


 年をとって、いろんなしがらみが出て、その結果、争い合うようになってしまったが……。


 カルディアス帝も、その後の戦いに後悔などがあるので、逆に実はこの昔の仲が復活したような関係は喜んでいたのだった。

 第九章で第七部は終わる予定です。


 宜しくお願い致します。

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