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ルイーザ 第七部 第四章

 僧会のロイド法王は縛王抜きの六王の和解が済んだことで、関係改善の事後確認とオルス北部の再建を助けて布教も行っていた。


 そこには僧兵もいて、僧侶とともに力を合わせて災害の再建を行っていた。


 ロイド法王は化王時代からやや修行者のような求道者的な性格をしており、前世の元の世界では宗教家の息子でもあったせいで、その辺りの機微は良く知っていた。


 宗教家と言っても、神道と修験系の教派神道に近い流れのもので、教会長として困った人達を助けると言う事を良くやっていた。


 こちらに転生しても前世では化王として王であったが、それは宗教の統治する国の王であった。


 だから、これは三度目の生として、また人助けの宗教家として僧会の法王をしていた。


 そんな彼が、今回は戦争を止めるためだとは言え、ガルビュードの医王神でなく、疫神としての力を使った事もあり、その患者の救済と街の復興に贖罪のように力を注いでいた。


 ロイド法王は僧侶たちからも実際に尊敬して慕われており、別に支配権だのの為にやってるわけでは無く、転生前の父親に言われた人助けを実施しているだけであった。


 そう言う意味で縛王も異色の王だが、彼もまた異色の王だと言って間違いなかった。


 暗殺者を僧会に置いているのも、民の為に害あるものを人知れず除く為だった。


 だからこそ、魔王クルシュを討滅させる為に、縛王に利用されたとはいえ組んで潰したのは、壊れていた武王が魔王クルシュとして報復の為に狂っていたからだった。


 その暴風のような武威は、人民たちにも苦痛を与えていたので、それで封印を提案して、縛王以上に積極的に武王を魔王クルシュとして封印する事を手伝った。


 だから、今回の魔王クルシュを入れた和解は彼にとっても、ある意味自分の過去を清算する意味で良かった事なのであった。


「これで、後は縛王だけか……」


 そう一人で華王であるカルディアス帝の作ってくれた天幕の中で生活しているが、辺りを見回してため息をついた。


 使ってくれと言われた以上、僧会としても使わざるを得ないのだが、寄りにもよって天幕は金糸をふんだんに使ったキンキラキンであった。


 その豪奢と贅沢さは完全僧会の方向性と違っていた。


「……相変わらず、趣味が悪いなぁ……なんで、こんなにキンキラキンが好きなんだ? 」


 質素な黒衣の僧服を着て、昔の修道士のように質素な生活をしていたロイド法王からすると本気で居心地が悪かった。


 綺麗に剃られた頭を撫でて、ため息をついた。


 いろんな宗教に対して融和的である神道と仏教の影響も取り入れた修験道の流れを受けていた教派神道系の宗教家の父と一緒に頑張っていたロイド法王にとって、この西洋の影響が強そうな僧会と言う宗教も別に違和感は無かった。


 ただ、淡々と困った人達を神の御名において救い続ける。


 それは常に続けていた彼の本質だった。


「猊下……」


 物静かな側近の僧侶がロイド法王に声を掛けた。


「どうした? 」


「それがどうしてもお会いしたいと言う昔の友人を名乗る方がいらっしゃって……」


「昔の友人? 」


 ロイド法王が少し苦笑した。


 この世界に転生して、彼は僧会の宗教に出会い、前世と同じように精進して上に進んだ。


 勿論、ガルビュートの加護は大きかったのだが、それにしても元は下位の貴族の出であった。


 彼は庶民たちにも近く、そうして貴族の中で相手にもされない下位の貴族の位をあっさり捨てて宗教の道に驀進して、若くして法王になった。


 ありがちなのだが、若い時に親しくしていた商人や貴族達が偉くなった自分に友人として会いに来る。


 自分はあの法王と友人だったのだと言う自慢もあってくるのだろうが、それを嫌味も無く面会して彼らを救い、布教の為にこなしていた。


 そして、今日も同じように下位の貴族の子として、庶民に混じって暮らしていた時の人が会いに来たのだろうと思った。


「入れなさい」


 そうロイド法王は側近の僧侶に微笑んだ。


「分かりました」


「こちらです」


 その側近の僧侶の言葉を聞いて別の僧侶が天幕の中に一人の男を連れて来た


「はあああああああああああああああああ? 」


 ロイド法王が初めて面会で動揺した声を漏らしたので、側近の僧侶たちが驚いていた。


 そこには、ボロボロの服を着て頭を綺麗に僧侶のように剃って、犬を抱いた魔王クルシュがいた。

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