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ルイーザ 第七部 第三章

 ルイーザ、ルイーザと雌犬の子犬に叫び続ける魔王クルシュの変わり果てた姿にスタンリー公爵もクリス部隊長も絶句していた。


 固まったままの二人を他所に魔王クルシュは雌犬の子犬のルイーザを大切に抱きしめた。


 その犬の名前はルイーザなの?


 などと二人も突っ込みが出来なかった。


 あまりにも痛々しくて声が出ない。


 スタンリー公爵もクリス部隊長も絶句したままだった。


「さあ、ルイーザ。洞窟に帰ろう。修行だ」


 そう魔王クルシュは言うとルイーザを連れて洞窟へ向かう。


 ついていこうか帰ろうかとスタンリー公爵とクリス部隊長は迷ったがついていった。


 なにしろ、最強の武将にして戦闘も全部魔王クルシュに任せきりだったのだ。


 スタンリー公爵家は彼がいないと、どうにもならないラインに来ていたのだ。


 しかも、六王との和解が済んだ以上、縛王と戦うためにも、六王のうちの三王との交渉にしても彼は不可欠の存在であった。


 でも、壊れてた。


「ふふふふふ、ルイーザはあわてんぼうだな。これからお祈りを捧げるよ」


 そこにはルイーザの姿を岩に彫った像があった。


 そこに一心不乱に祈りを捧げる魔王クルシュがいた。


 それはまるで悪魔崇拝でもしているような雰囲気だった。


「ど、どどどどど、どうします」


 いつもは落ち着いてて一番仕事ができるクリス部隊長が動揺していた。


「ど、どどどどどどどどどどうしたらいいんだ? 」


 やはり、それ以上に動揺しているスタンリー公爵だった。


 あまりにも異様な姿を見てしまってどうしていいか分からなかった。


「とりあえず、そっとしておくしか無いですよね」


「し、しょうがないよな……」


 クリス部隊長の言葉にスタンリー公爵も無理矢理納得した。


「あぁぁああぁぁあぁぁああぁ、ルイーザが割れてしまったぁぁぁぁ! 」


 魔王クルシュがそう叫んだ。


 ルイーザを刻んだ岩がびしりと割れたのだ。


 そして、上半身のあたりが下に崩れ落ちた。


 まるでルイーザとの仲はおしまいと言う感じであった。


「キャン! キャン! 」


 雌犬の子犬のルイーザが心配そうに吠えた。


「うぅぅぅぅううぅ、これで三体目だ。何が……何が一体悪いのか……」


 そう魔王クルシュが呻いた。


「え? 」


「三体目なの? 」


 クリス部隊長とスタンリー公爵の顔が歪む。


 その壊れた像の欠片をいとおしく集める


「やばい」


「やばいな」


 クリス部隊長とスタンリー公爵が小声でささやき合う。


「キャンキャン! 」


 雌犬の子犬のルイーザが必死に魔王クルシュに吠えた。


「ああ、すまん。ルイーザ。お前の事じゃ無いんだ……」


 泣きそうな顔で魔王クルシュが答えた。


「キャイン! キャイン! キャイン! 」


 魔王クルシュにルイーザが必死になって吠えた。


「そ、そうかっ! そうだったのかっ! ルイーザ! 流石だ! 教えてくれてありがとう! そうだったのかっ! 」


 魔王クルシュが気が付いたように叫んだ。


「くぅぅん」


 雌犬の子犬のルイーザが魔王クルシュに撫でられて、甘えるように鳴いた。


「そう言う事だな。俺が好きだったのは麗王だったんだ。像の姿は麗王で無いといけないよな。やっと気が付いたよルイーザ。お祈りを捧げる相手を間違えていた」


 魔王クルシュが嬉しそうに笑った。


 それを見てクリス部隊長とスタンリー公爵がぞっとした。


 慌てて二人はそっと洞窟を出ると城に戻った。


「まずいまずい」


「完全に壊れてる」


 クリス部隊長とスタンリー公爵はあまりの展開に動揺しまくっていた。


 

 大体、フラれると人間壊れます。


 後輩なんかストーカーになってたし。


 フラれちゃったよとか、泣く人より、人間が壊れた人しかいなかったのは、作者のまわりだけかもしれんけど。

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