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ルイーザ 第六部 第五章

 そうして、華王の本陣に魔王クルシュとクリス部隊長とテイラー部隊長とルイーザがたどり着いた。


 わざわざ、華王は本陣の派手な天幕から出て待っていた。


 それを見て、魔王クルシュ達は一斉に跪いて臣下の礼を取った。


「お前、頼むから水龍神ラトゥースを怒らせて暴走させるのを止めろよっ! 」


 だが、それを無視して、最初に華王であるカルディアス帝が怒鳴った。


「いやいや、雨が降っただけですよ」


「その通りです」


 魔王クルシュだけでなく、原因の一旦となったテイラー部隊長も熱く語った。


「何で、もう一人似たようなのが増えてんだよ」


 カルディアス帝がドン引きしていた。


「ちょっと! もうバレているんだから、正直に謝りなさいよっ! 」


 そうルイーザが魔王クルシュの頭を叩いた。


「え? あれ? ああ、この子がお前が言ってた麗王の生まれ変わりとか言ってた……」


「はい、スタンリー公爵家の長女のルイーザです」


 そう貴族としての礼儀を尽くしながら、ルイーザがカルディアス帝に初めて正式に挨拶した。


「……あれ? まだ、記憶は戻ってないのか? 麗王と随分雰囲気違うな……」


 カルディアス帝があからさまに驚くとともに少し動揺していた。


 ルイーザが気品が足りないって言われたように感じて、ぐぬぬぬって感じになる。


「ああ、いや、失礼。我々は魔王クルシュというか武王から聞いていると思うが、(いにしえ)の六王と呼ばれたものなのだ。どうしても、麗王の古い姿が記憶に焼き付いていてな」


 そうカルディアス帝が苦笑した。


「いえ、私はちょっとガサツなようで……」


「いやいや、麗王もちょっと野蛮と言うか乱暴な所はあったからな。ただ本当にまわりの雰囲気が変わって、印象的な動きをするんだ。戦場とか特にな。あれは天性のものだろう。下手すると印象的と言う意味では武王より武は凄かったくらいでな」


 そうカルディアス帝……華王は少し懐かしそうに話す。


「そうだったのですか……」


 ルイーザがそう困ったような表情をした。


 ルイーザにとっては麗王と言われても他人の話に近いので、どう答えて良いか分からなかったのだ。


 だが、そのカルディアス帝の言葉はクリトラオスとかの側近達には衝撃だった。


 これほどカルディアス帝が他者を褒めることは無かったからだ。


「で、化王も来ているのか? となるとゼクス帝国のコンラート皇帝も六王の一人という事か。六王が戦い合った世界の再現を止めているのだろう」


 そう、魔王クルシュがずけずけと話す。


「良く分かったな。その辺りは流石だな。コンラート皇帝は聖王だ」


 そうカルディアス帝が苦笑した。


 それは魔王クルシュやテイラー部隊長とクリス部隊長とルイーザよりもクリトラオスなどのカルディアス帝の臣下達が激しく動揺していた。


 何しろ、まさか敵対しているゼクス帝国のコンラート皇帝が、自分達の帝であるカルディアス帝と同じく六王であるとは思っていなかったのだ。


「では、皆と会えるのだな」


「というか、まずは聖王に謝れ。とにかく、知っていると思うだろうが、筋を通せばあいつは大丈夫だ」


「そうか。あの時はいろいろと申し訳ない事をした。それも謝りたい」


 そう魔王クルシュが素直に申し訳なさそうな顔をした。


「いや、そういう態度でいてくれ。全部まとめるから」


 そうカルディアス帝である華王も苦笑した。


 六王は確かに麗王の事だけでなく、転生して来て互いに激しく領土を巡って戦い合った。


 当時はそれでいがみ合っていた部分もあるが、それ以前の話として、転生前の世界ではクラスメートで幼馴染に近い友達だったのだ。


 それをカルディアス帝は思い出したような顔をしていた。


 長い年月をおいて互いに再会する事が双方のわだかまりを氷解させる事はあるのだ。


「まあ、問題は縛王だな。相当離れて場所に陣を作って、動く気配が無い」


 だが、それでも、どうしても氷解しない問題はまだあったのだ。


 少し、カルディアス帝が顔を歪ませた。

 




 

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