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ルイーザ 第六部 第三章

 そうして、クリス部隊長が戻ってきて話したのは、もっと異様な話だった。


 つまり、ゼクス帝国のコンラート皇帝の親征が始まり、オルス北部に攻め込む動きをするまでは疫病の雰囲気は全く無く、逆にクシャナ帝国の再建は凄くうまくいっていたらしい。


 食料を配り、洪水で壊れた家など軍隊が手伝ってかたずけ、住む場所も与えると言う至れり尽くせりで、オルス帝国の北部の残党もそれで帰順して来た者が多くいる状態だった。


 やはり、クシャナ帝国のカルディアス帝は万全の対応を行ったようだ。


 カルディアス帝である華王はキンキラキンが大好きで富の蓄積を良くしていたが、それの使いどころを間違える様な男では無かったのだ。

 

「となると、それで戦闘は止まっているんだよな」


「ああ、ゼクス帝国は疫病を恐れて、オルス北部に侵入まではしていない。おかしな噂なのはクシャナ帝国の方も疫病が流行っているわけではないそうな」


「え? それはどういう事? 」


 クリス部隊長の話でルイーザが驚いた。


 ルイーザも最前線のスタンリー公爵家の娘だ。


 戦争における死体の埋葬などをしてないばかりに変な疫病などが流行るのを見たことがあった。


 だからこそ、双方の軍に被害が出てないのが不思議でしょうがなかった。


 そういう修羅場をくぐってきた部分が貴族の娘らしくないと貶された理由ではあるのだが。


「分からない。突然、オルス北部のゼクス帝国とクシャナ帝国の軍が対峙している、その間のオルス帝国の北部の街などで疫病が出たらしい。それで、双方は仕方ないので、その街などを挟んで睨み合ってるらしいです」


 クリス部隊長が困惑しているルイーザにそう告げた。


「ああ、なるほど。良く分かった。双方に戦争をさせない為に疫病を出させたんだ。もう一人いるわ」


 そう魔王クルシュが驚いたように呟いた。


「もう一人って? 」


「六王だよ。多分、俺と麗王以外の四王間で不可侵条約みたいなのを結んでたはずだから、それが、まだ生きてるんだ。戦わせない為にそいつが介入しているんだ」


「だ、誰が? 」


「そんな能力あんの? 」


 クリス部隊長とテイラー部隊長が驚いていた。


「ああ、知られていないが、六王のうちの化王が疫病を操る神である疫神ガルビュードの加護を得ている」


「疫神って……」


「そんなのに加護を受けているの? 」


「ああ、疫神と言われてるけど、病気直しもするし、医王神ガルビュードとかも言われている。戦いで疫病を使うので、そういう部分で忌み嫌われているだけだし」


 魔王クルシュがそう答えた。


「そんな、恐ろしい神々の加護を得ているんだ。私は酒の神様なのに」


「酔っ払いって最強だったりしてるから」


 魔王クルシュの突っ込みでルイーザが暗い顔になった。


 先代のオブライエン侯爵との戦いをいろいろと思い出したのだろう。


「となると、随分と厄介な事になったな」


 クリス部隊長が唸る。


「いや、そうでもない。逆にこれは華王の気遣いかもしれない」


 そう魔王クルシュが笑った。


「どう言う事? 」


 テイラー部隊長が不思議そうに聞いた。


「今回のお詫びとともに、俺に皆と仲直りしろって考えているのかもしれない」


 魔王クルシュがそう笑った。


 そう、だからこそ、魔王クルシュは華王に臣従したのだった。


 華王はキンキラキンが好きだが、意外と傘下になった人間には厚く遇する男だったのだ。


 だが問題は魔王クルシュは縛王に麗王が嵌められて殺されて、その結果たった一人で戦う事になったと思っていたが、実は自分の余計な一言を言う癖がそうならせた部分があると言う事実を忘れていた。


 自分の欠点に気が付いているようで、気が付いて無かったのだ。





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