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ルイーザ 第五部 第四章

「おおおおお! 有難き幸せ! 」


 魔王クルシュが深く水龍神ラトゥースに跪いて頭を下げた。


 叔父の将軍も言われた通りに、魔王クルシュと同じく跪いて頭を下げた。


 テイラー部隊長とジョージ部隊長とジェームズ部隊長もそれを真似た。


 それをまわりの兵士達が見て慌てて、同じようにした。


「この一帯をいつもの如く水攻めの為に雨を降らせばよいのじゃな」


 そう水龍神ラトゥースは魔王クルシュに微笑んで答えた。


「何卒、お願いいたしたく」


「良い良い、また、水の魔術も呪術も使えるようにしてやろう」


 そう水龍神ラトゥースは微笑んだ。


「ははっ! 」


 再度、厳かに魔王クルシュが跪いたままで頭を下げた。


「良かろう」


 水龍神ラトゥースが頷くと雨が降り出した。


 そして、渦のような空間に現れた水の塊は水龍神ラトゥースとともに消えた。


「おおおおおおおお! 」


 魔王クルシュがその降り出した雨水を見て感謝するように雄たけびを上げた。


 そうして、降り出した雨が止まらなかった。


「ええええと、結局、どうする気なの? 」


 女神も消えたし儀式も終わり、祭壇のものは川に流したので、叔父の将軍が聞いてきた。


「ああ、つまり、禿山で雨が降ると地崩れが起きるのさ。特にあの城は岩石の固まった岩山の上にある土に出来た城だから、大量の水を浴びると土は全部流れ落ちると言う結果になる」


「なるほど、それで城ごと崩してしまう訳か」


「それだけじゃない。ここに湖を作って、連中と戦う時の水の源を作るつもりだ」


 つまり、魔王クルシュは縛王と戦うために、自分が有利になる為に、海が無い王国に湖と言う戦うための水場を作るつもりだったのだ。


「じゃあ、これから最初の話通りに」


「ああ、一旦、木々がしっかりした山のある一キロくらい下流の大きな山に撤退する。俺達のすぐ後方の山も禿山になっているから、恐らくこの形なら後方の山も崩れて、水を溜めるような形に地崩れになるはず。それでウォール伯爵の城が雨で崩れた後で川の崩れ方見て補強して、ここに湖を作るつもりだ」


 そう魔王クルシュが説明した。


 つまり、ウォール伯爵の崩れた城のあたりから、二つの渓谷を使った巨大な湖が出来るはずと計算していた。


 自分が得意な水魔法を使いにくい王国で使うために湖を作ってしまうと言う凄まじい考え方だったのだが、残念ながら魔王クルシュはスタンリー公爵家の家風を甘く見ていた。


「地味だよね。魔法の結果」


「凄い美しい女神様がするから良いんだけど、ちょっと地味だよな」


「まあ、魔法って六王の時はいろいろ聞いたけど、今は殆どすたれているし、現実はこんなものでしょう。魔法使いとか精々火を起こすくらいだし」


 テイラー部隊長とジョージ部隊長とジェームズ部隊長が無茶苦茶を言い出した。


 魔王クルシュが彼らの見た事も無い様な凄い顔で焦りまくっていた。


「どうしたのよ」


 叔父の将軍が魔王クルシュが凄い顔をしている理由が分からず、不思議そうに聞いた。


「い、いや、雨が降ってるって事は……水龍神ラトゥース様とその眷属が姿は見せないけどいらっしゃるって事で……」


 あの魔王クルシュが凄まじく焦っていた。


「あああ? 」


 怪訝そうに叔父の将軍が魔王クルシュの言葉を聞いて首を傾げた。


「いや、地味は地味でしょ」


「それは本当だから……」


「だってねぇ。水龍神ラトゥース様はお美しかったけど、ただ雨を降らすだけとか、やっぱり美しさに比べて地味だよね」


 テイラー部隊長とジョージ部隊長とジェームズ部隊長はさらに言ってはいけない事を続けていた。


 そして、闇の中に赤い巨大な目がいくつも浮かび上がったのを気が付いていなかった。


 


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