ルイーザ 第五部 第二章
「で、どういう風にするの? 」
渓谷のウンザリするほどの絶壁のような対岸の谷の岩場を見てため息をつきながら、叔父の将軍が魔王クルシュに聞いた。
「とりあえず、いよいよ魔法を使うよ」
「火だっけ? 」
「水」
「武王とかさ。そういう呼ばれ方した人ってやっぱり炎じゃないの? 」
「また、それを言う」
「イメージ的にはそうだよね」
そうテイラー部隊長とジョージ部隊長が魔王クルシュにポンポン突っ込んでいた。
食べている食事は小麦粉に水を混ぜて粘らせて捏ねたものを木の棒とかに巻き付けて火で焼いて食べている。
それ以外は一部干し肉は持ってきているが、なるべく減るのを防ぐために、現地で採取した野草や動物の肉を入れたシチューだ。
あらかじめ餅のようにして焼いたパンもあるが、それは戦争してる時とか緊急時に使用するつもりで、まずは今みたいなもので食事をしながら、目の前のウォール伯爵の城を見ながら、今後について考えていた。
「にしても、随分、山の方が禿山にあちこちなってんな」
そうジョージ部隊長が呆れたように話す。
城の近隣は薪などの燃料の為に伐採したらしく昔は緑の中にあった城が土とかの間にあるように見えた。
「昔は、絶景で有名だったのにな」
そう叔父の将軍が悲しそうにそれを眺めた。
「何でも雷かなんか知らないけど、薪とかの採取に使ってた城の山の先の山が焼けて燃料の薪を取るのが無理になったんだってさ」
そうテイラー部隊長が話す。
「ああ、それ、俺がやったの」
それを魔王クルシュが笑って白状した。
「はああああ? 」
「どうせ、王家と戦争になるだろうからさ。山に火をつけて燃料が取れないようにしたんだ」
魔王クルシュがそう爆笑した。
「なるほどな。じゃあ、今回の作戦もそれに関係してるんだ。燃料を取りまくって、周りの青々していた木々が全部はげ山になってるしなぁ」
叔父の将軍がそれでにやりと笑った。
「ああ、そこが作戦のミソだ。あそこは本来巨大な巨石だけだったのが、長い間に鳥が糞とかして木々が出来て、それが腐って腐葉土になってってのを数百年繰り返して出来た山だから。所詮は岩の上なんだよね」
魔王クルシュがスープを啜りながらにやにやしている。
「しかし、それじゃあ、王家と戦えないんじゃないかな。あの城を落とさないと、王家に攻め入る道が無いし」
ジェームス部隊長がそう怪訝な顔をした。
「それも理由はある。というか、そういう戦い方をするために華王であるカルディアス帝に臣従したんだし、ここはそれを最大限に生かさせてもらわないと」
「なるほどな。オルス帝国を一気に潰せば側面の向かって左側からオルス帝国が動いて王都を狙いと言う事で両面から攻撃できるって事か」
「その通り。うちだけで戦うのは縛王に対しては危険だよ。えげつない手を使うしな。それなら、少しでもカルディアス帝に頑張ってもらわないと」
そう魔王クルシュがいたずらっ子のような顔で笑った。
「で具体的に作戦は? 」
「この俺達の背後の山に大雨をふらせて合流した川に崩す。その後に背後から木を切って、それを補強する」
「水攻めかよ」
「まあ、水攻めと言えば水攻め」
そう魔王クルシュが山々を指さしながら話す。
全てが結構な禿山になっている。
「でも、道をふさがない? ここをダムのようにする作戦だと」
「まあ、任しておいてくれ。これで良いんだ」
そう魔王クルシュが笑った。
「まあ、その辺は言うとおりにするけど……で、いつやるの? これから? 」
叔父の将軍が聞いていた。
「いや、危険だけど、相手の邪魔は受けたくないので、夜に一気にしよう」
そう魔王クルシュが皆を見回した。




