第四部 第一章
「で、どうするの? 」
スタンリー公爵が困った顔で魔王クルシュに聞いた。
あれから、また部隊長達とスタンリー公爵と魔王クルシュとルイーザが公爵の執務室に集まって深刻な顔で相談していた。
状況が悪すぎるのだ。
「大雅が味方についてくれんかな」
そう魔王クルシュが呟いた。
「大雅って誰? 」
「華王だろ? 」
「カルディアス帝か? 」
部隊長がそれぞれ突っ込み合う。
「いや、昔の名前で言われても困るんだけど」
そうルイーザが突っ込んだ。
「君の前世の前世の友達なんだけど」
「そんな古い話を覚えているわけないでしょうが? 」
「もうすぐ思い出すと思うぞ。あのヤリチンを」
「女の前でヤリチンとか言うなっ! 」
ルイーザが魔王クルシュをひっぱたいた。
「ご褒美ありがとうございます」
魔王クルシュが目をキラキラさせた。
「思いっきり、やる気無くすからやめてよ」
「やる気が失せるんだけど」
そうテイラー部隊長とクリス部隊長が突っ込んだ。
「武王って呼ばれてたんでしょ。何かあるんじゃないの? 火炎とか爆炎とか? 」
アルバート守備隊長が聞いた。
「いや、俺、水なんだよね」
「水? 」
「水って珍しいな」
「普通火じゃないの? 」
「いや水だ」
魔王クルシュが部隊長達に言われてもう一度答えた。
「珍しいな」
「水を増幅させるの? 」
「いや、水自体を大量に流させたり発生させたり出来る。でも、条件がいくつかあるけどな。大気にある水を使うんだ。だから、カラカラの天気とかだと無理」
そう魔王クルシュが自重気味に笑う。
「いいのかな? そんなタネを明かしても? 」
ルイーザの叔父の将軍が苦笑した。
「いや、六王は全部知ってる。だから、今更だろ」
「種も無いなら難しいわね」
「縛王が厄介なのは他人の身体を乗っ取って次々と姿も立場も変えれるからな。直接的な攻撃能力は無いけど、ただそれだけが厄介で。はっきり言うと恐らく殺せない」
「はあ? 」
「どうやって倒すんだよ」
「どうしょうも無いじゃん」
魔王クルシュの一言で皆が匙を投げたような顔になる。
「閉じ込めるのは出来ると思う。それで眠らせるとか」
「それの方が殺すより難しくない? 」
「まあな。それで皆が一番厄介だと思ってる。俺なんかよりもな。魂で移動して、他人の身体を乗っ取ってってどうしょうも無いくらいヤバいし。ただ、リスクがあるはずなんだよな。それを奴は一度も六王に見せなかった。それが分かるといいんだけど」
「いや、アルフォソ王子が偽物だって皆に話して拡げたら? 」
ジョージ部隊長が提案した。
「いや、薄々感ずいているのはいるだろう。でもな。いくらでも身体を変えれるから無意味だぞ。いつの間にか追い落としている国王の敵側の貴族の一番上の奴に成り代わったりって何度もあったから」
「怖いよな」
「確かに」
スタンリー公爵と叔父の将軍が身震いした。
「それで、怖いくらい恐れられていたんだ。どちらにしろ、それはそれとして、この状況で味方になってくれそうな辺境伯とか貴族とかでいないのかな? スタンリー公爵家としたら」
「うーん。付き合いが無さ過ぎて。困ったことに」
「相手が兵士の調練を終わるまでに攻めた方が良いんだけどな」
スタンリー公爵の悲しい言葉に魔王クルシュもため息をついた。
今日から一日一本投稿します。




