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第三部 第七章

 魔王クルシュとスタンリー公爵と部隊長達が全員慌てて城壁に走った。


「攻めてきたのか? 」


「いや、久しぶりに挨拶をしたいと言う事で……」


「とりあえず、城門は? 」


 アルバート守備隊長が聞いた。


「いや、一応、城門は閉めました。五十人程度の護衛と共に騎馬で現れたので、大げさだったかもしれませんが……」


 そう兵士が並走しながら話す。


「久しぶり? 」


 兵士の言葉に魔王クルシュが首を傾げた。


「おいおい、まさかの別の六王か? 」


 そう叔父の将軍が呻く。


「可能性はあるな」


 そうスタンリー公爵が答えた。


 そして、彼らは城壁にたどり着いた。


 すると、そこにキンキラキンの黄金の武具をつけた騎馬が百騎ほど、こちらの城壁の上を見上げていた。


 そこの真ん中にいた一際キンキラキンに輝いてる武具を身に着けた高貴な男が騎馬で城壁に近づいてきた。


「久しぶりだな」


 そうそのキンキラキンの武具の騎馬にいるカルディアス帝が声をかけた。


「こ、このキンキラキンはまさか大雅(たいが)か? 」


 魔王クルシュが叫んだ。


「おい、三百年前のさらに前世の名前で呼ぶなよ」


 そうカルディアス帝が苦笑した。


「いや、呼んで良いのか? 」


「なるほど、気を使ったわけか。昔の無茶苦茶なお前にしたら変わったな。構わん。ここに居るのは側近だけだ」


「華王か」


「そうだ」


 そうカルディアス帝が答えた。


 それで、スンタリー公爵と部隊長達がどよめいた。


「華王って間違いなく、六王の一人だな」


「マジかよ。カルディアス帝がか? 」


 そうジョージ部隊長とテイラー部隊長が呻く。


「縛王が動いたらしいな」


 そうカルディアス帝が笑った。


「もう知っているのか」


「そういうのは昔の仲間ならすぐわかるだろ」


「で、昔の大戦の通り、縛王と組んで俺と戦うのか? 」


 単刀直入に魔王クルシュが聞いた。


「馬鹿馬鹿しい。俺はあの時にも、俺は付き合いとして参加したと言ったよな。覚えているか? 」


「ああ」


「俺はそう言うのには興味はない。だから、お前と戦う気は無い。俺の興味があるのはオルス帝国だ。お前がダメージを与えてくれたおかげで侵略しやすくなった。俺はこちらにかかりきりだ。だから、オルス帝国とこちらを攻めるな。その代りにお前が縛王と戦うのを背後から襲ったりしない」


 そう華王が話す。


「つまり、しばらくの不戦と言う事か? 」


「いや、他はともかく、俺はずっと不戦で構わんのだがな。別に六王の支配などに興味も無い。俺は俺の帝国を大きくしたい。それだけだからな。お前との戦だけは厄介だからな。だから、先に話に来た」


 そう華王が笑った。


「つまり、縛王との戦いは勝手にお前らでやれと言う事か」


「良く分かったな。三百年経っても俺の性格は良く分かっているようだ。その通りだ。お前は戦が強く、縛王は気味の悪い戦いが得意だ。どちらもこちらに関わって欲しくないと言うのが本音だ」


 そう華王が破願した。


「分かった。それで良い」


「良し。では決まりだ。俺はオルス帝国を、お前は縛王をと言う事だ。双方は介入せずと言う事で。俺もお前も口上での約束は守るからな。これで良かろう」


 そう華王が満足したように笑って頷いた。


「ちょっと、それで良いのか? 」


「仕方あるまい。オルス帝国を奪いそこなったけど」


 スタンリー公爵が魔王クルシュに聞いたが、魔王クルシュは顔を顰めたままだ。


「さてと、ところで隣の女性がそうか? 」


「ああ」


 カルディアス帝がルイーザを見て聞いたので魔王クルシュが頷いた。


「昔の方が綺麗じゃ無いか? 」

 

 ずけずけとカルディアス帝が苦笑した。


「はあ? 」


 ルイーザが思わず小声をあげた。



「いやいや、昔の麗王ならこう言われても微笑んでるだけだが、微妙にお前に似てるな」


 そうカルディアス帝が魔王クルシュに話したので、ルイーザがそれで顔面蒼白になった。


 こうして、クシャナ帝国のカルディアス帝とは、スタンリー公爵家と魔王クルシュはしばらくは不戦と言う事になった。


 勿論、それはオルス帝国をクシャナ帝が併呑するまでの事だろうが。

 

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