第三部 第一章
執務室で叔父の将軍が執務をしているスタンリー公爵に話しかけた。
叔父の将軍の横にはクリス部隊長が居た。
「で、武王って何です? 」
クリス部隊長がそう聞いた。
「知らん」
そうスタンリー公爵が答えた。
「六王とかは? 」
「そういう神話があるのは知ってるけど。全然伝承が残って無いしな」
「都合が悪いのかもしれませんね。残っていると」
クリス部隊長の別の質問にスタンリー公爵と叔父の将軍が答えた。
「魔王クルシュが六王の一人で武王って証拠はあるんですか? 」
「自分で言ってるだけだよな」
スタンリー公爵がそう苦笑した。
「何と言うか……では何も分からないんですよね? 」
「いや、一つだけあるな。縛王に気をつけろ……かな? 」
「は? 」
「良く分かんないんだが。うちのスタンリー家にずっと伝わっている言葉だ。それが誰なのかを確かめろと。姿で判断だけはするなと」
「何ですか? それ? 」
「何か、それで凄い怖い目にあったらしい。ご先祖が……王家にもあるそうな……」
「そうそう、でも、それだと、この王家が縛王の血筋だと言う話と少し矛盾してるんだよね。縛王を恐れている訳だから」
クリス部隊長の困惑にスタンリー公爵と叔父の将軍が答えた。
「ますます分からないなぁ」
クリス部隊長がそう愚痴った。
「昔、調べた事があって。どうも、誰かが何が起こったかを消して回ってるみたいなんだよな。残していた文章とかが片っ端から変な出火で燃えてんだ。それが良く分かんない」
そうスンタリー公爵が答える。
「誰か、証拠を消していると言う事ですか? 」
「敵に回したら相当やばいのかもしれないね。王家も相当怯えてたって話を先々代から聞いた事がある。実際に、王家が恐れていたのは魔王クルシュで無くて縛王なんだよ。話がここでも矛盾しているように見える」
「正直、素直に魔王クルシュに聞いた方が良いんだけど、喋んないよな。その辺り」
クリス部隊長の疑問にスタンリー公爵と叔父の将軍が答えた。
「で、その魔王クルシュはどうしたんだ? ここのとこ見ないが。夜這いするとか言ってたけど、股間をルイーザに刺されて出血したから、何も出来なくなったとか愚痴ってたのは聞いたが」
「その後ですかね。皆でわいわいと話をして、馬鹿だなぁとか本人に言ってたんだけど、消えちゃいましたよね。それから見てません」
そうスタンリー公爵にクリス部隊長が首を振った。
「ああ、それなら、ひょっとしてってのがあるんですけど……」
そう執務室をノックして入って来たアルバート守備隊長がいきなり話に乗って来た。
「何か、あの時にありましたっけ? 」
そうクリス部隊長が驚いたように答えた。
「いや、王子が逃げだした件で、ジョージ部隊長が王家の噂って言うんで、昔から王子が怖がりでお化けが嫌いとか言ってたろ」
「ああ、それは聞いたことありますよね。あの王城自体がいろいろといわくがあるらしいですし」
「それを聞いた時に魔王クルシュの目がキラッとしてたんだよね」
「はああ? 」
「いや、まさか、王城に王子を脅かしに行ったとか言うのか? 」
スタンリー公爵がそう真面目な顔になった。
「いや、いくら何でもありませんよ」
そうクリス部隊長が呆れて笑った。
「あり得るかもよ」
叔父の将軍が苦笑した。
「いや、いくら何でも? 」
「いや、意外とやる事は馬鹿みたいなことするし、ルイーザの件で結構王子を根に持ってるしな」
唖然としたクリス部隊長にスタンリー公爵がそう苦笑した。
「いや、普通なら王子を殺せばいいんだろうけど、ルイーザが勘が鋭いから気が付いたら許さないだろうし。嫌がらせは大好きだからなぁ」
叔父の将軍も苦笑した。
「確かに、その可能性があるんですよね」
「アホですか? 」
アルバート守備隊長が同じように苦笑したら、クリス部隊長が呆れ果てた顔で吐き捨てた。
「アホだよ」
「ずっとアホじゃん」
そうスタンリー公爵と叔父の将軍に断言されて、クリス部隊長は何も言い返せなかった。
「股間の傷が治るころには帰ってくると思いますけどね」
そうアルバート守備隊長が馬鹿笑いして答えた。
下痢が酷くてグダグダのままの投稿です。
多分、今回のは戦争まで行かないと思います。
宜しくお願いします。