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僕と幼女の間に
「ごちそうさま」
幼女は、ホットミルクを飲んだ口を紙ナプキンで拭うと、きちんと4つに折り畳んでテーブルの上に置いた。
「ところで」
休む間もなく次の要求だろうか。
「外に出ましょう」
「パソコンを持って外に行くのか」
「そっちに行くわ」
次の瞬間、幼女は僕の前に実体を表した。映像ではなく、実物の人形として。幼女召喚プログラムなんてあるんだ。
幼女の身長はおよそ50cm。人間の赤ん坊ぐらい。服もちゃんと着ている。子供がバレエ用に着る様なポリエステルで出来た衣装ではなく、ジョゼットをベースにガーゼと綿を部分的にアクセントとしてあしらった高級感のある服。生意気だ。レイトレーシングをONにしてテクスチャを最高設定にしてもこの実物の質感には到底叶わない。いい匂いもしてくる。
固体は神がつくりたもうたが、表面は悪魔がつくった。僕はこのテクスチャに抗えない。