お風呂
家に帰ってきた。
手洗いうがいをして、湯船にお湯を張る。
「一緒に入りましょう」
幼女からお風呂に誘って…いや、僕の「娘」なのだからごく自然な行為である。
二人ともお湯を浴びてから体を洗う。幼女にかけるお湯は少しぬるくしておいた。
「アーサー、髪の毛洗って」
石けんを手に取り、幼女の髪の毛に擦り付け、泡立てた。
「頭皮に爪を立てないで、指の腹で揉むように洗って」
僕はそんな洗い方をしたことはない。さすがは女の子だ。
仰せの通りに指の腹で頭頂部を揉む。同じ要領で、今度は長い髪全体も泡で揉むように洗った。腰まで伸びた髪を全て泡で埋め尽くすのに時間がかかった。
「姫さま、綺麗な御髪ですね」
「見ての通りよ、ガーサー」
「もう一度言っておく。アーサーだ」
「アワダテテ・ガーサー…」
呪文のように幼女は呟いた。
幼女の髪をお湯で洗い流すと、自分の頭を洗う。1/8の時間で済んだ。
僕はついでに自分の体をスポンジで洗った。その間幼女は自分の体を、半分の大きさのスポンジで洗っていた。
「背中」
幼女から小さなスポンジを受け取り、小さな背中を擦る。お湯で流すと、湯が玉の様に弾ける。
幼女を湯船に入れる。
ただし、幼女はお風呂の深さよりも背が低いので、自分が先に座り、膝の上に幼女を乗せる。
「100数えましょう」
「いーち」「一」
「にーい」「二」
…
「ひゃく!」「百」
数え終え、僕が立ち上がると
幼女は木の枝にまたがっていた。




