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653. 夢の中で(10)

 おじい様と父様二人の体をどうにか元通りにし終え、僕は安堵していた。

 検査の結果も問題ないとのことだった。

 脱水症状がみられるため、二人は3日ほど入院することとなった。


 2人を二人部屋の病室に入れてもらい、僕はそろそろ退散と思っていた時だった。

 僕が元々来ていたスーツ姿に戻ったところで、石田刑事が納得いかない様子で僕に聞いた。

「ライガ君、あの臓器はどこから奪還してきたんだい?どうも納得いかないのだよ。」

「あー、そうですよねぇ…。せっかくなのでどこに持っていく予定だったか知りたいですよね…。」

「君も知らないのか?」

「はい。飛行機の中で取り返してきたので、どこに持っていくつもりだったかまでは、わからないんです。」

「飛行機?」

「あ、そうだ!石田刑事さん、精肉店でイキのいいレバーとかを買ってもらえたら、お手伝いします。」

 僕がそう言うと、石田刑事は制服警官に指示して精肉店で豚の腎臓と肝臓を買うよう手配したのだった。

 30分ほどでそれらが届いた。

 それとは別に、臓器を抜き取られ盗まれた証拠品として押収されていたクーラーボックスと同じ物を2つ用意してもらい、おじい様達の臓器が入っていた状態に見せかけた豚の臓器を中に入れた。

「あのぉ、小型のGPSも2つ用意してもらえますか?」

 石田刑事は察したようで、すぐに手配してくれた。

 僕は用意されたGPSを豚の臓器の中へ差し込んで、見えなくした。

「じゃ、これ戻してきますね。」

 僕はそう言うとクーラーボックスと共に金色のキラキラになってその場から消えた。

 石田刑事はもう驚かなかった。きっとこの子は神の化身なのだろうと確信していたのだ。


 何分もかからないうちに僕は病室に戻ってきた。

「置いてきました。GPSで場所の特定をしてください。」

 僕がそう言ったところで、病室に飛び込んできた人たちがいた。

「ライル君、何がどうなっているの?」

 小さいライルの手を引いてすごい形相で駆け込んできたのは留美だった。

 それを見ていた石田刑事は明らかに固まっていた。

 僕がライルと呼ばれたことに気づいたのだ。

「ライル…ライル君と言いましたか?」

 石田刑事が留美に強い口調で言った。留美はまさか家族以外の人物がいるとは思わず口走ってしまったことを焦ったがもう手遅れだ。


 僕は留美と石田刑事には見向きもせずに小さいライルに話しかけた。

「ライル、君の望みは叶えられたかい?」

 小さいライルは血色の良くなったおじい様と父様の眠っている様子を見てこっくりと頷いた。

「お兄ちゃん、助けてくれてありがとう。」

「あぁ、間に合って良かったよ。」

 小さいライルからの安堵の笑みがこぼれた。その瞬間、僕の体は金色の光の粒子になりその場から掻き消えたのだった。同時に僕は目の前が真っ白になり意図せず意識を手放した。

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