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606. 望まぬ訪問者達(4)

 さて、FBIはさすがに無視できないという事になり、アンジェラの提案で、アンジェラの会社の本社会議室での面談を打診することになった。

 アンジェラの考えたストーリーはこうだ。

『LUNA』は地球上のどこにも存在しない人物であるので、アンジェラの会社としてはLUNAはアンジェラの『守護天使』であると考えているとFBIには言うつもりだ。

 LUNAへの連絡方法はあの天使のブロンズ像についている供物台に手紙を添えてお供えを置くと言うもの。

 殆ど茶番と言ってもおかしくない話だが、僕たちにはあまり選択肢がない。よりLUNAを非現実的に存在する者として印象付けるかがポイントだ。


 絵画をストックしている倉庫に置いてあったブロンズ像の一体を、アンジェラの会社の本社の屋上に設置し、お願いの手紙を置くところからパフォーマンスしようということになった。

 会議室には、僕の代わりにニコラスを僕として同席させる。アンジェラの義弟、そして同居家族として見守る、そして僕がLUNAではないという確証も得られるということになる。

 そして、万が一の防衛策として、ミケーレを一緒に連れて行くことにした。


 FBIが何を企んでいるのかはまだわからない。

 あんな機動隊を連れてまで訪問してきたのだ。住宅街ということもあり、突入はしてこなかったが、文書や、口頭で言われたこと以外にも裏がありそうでとても鵜呑みにすることはできない。え?僕が疑心暗鬼になりすぎてる?

 いやいや、そんなことは無いよ。僕は血縁の親族以外は全くと言ってほど信用していない。


 アンジェラと相談した結果、リリィを入院を早め、金曜日に入院の予定だったのを火曜に変更した。リリィにはリリアナが常に付き添い、子供達の面倒はアンドレとニコラスが共同で対応する。マリアンジェラも15歳の大きさになって一緒に手伝ってくれることになった。

 FBIとの面談は金曜の午後1時と決定し、その場所に来てもらうように会社の広報から返事をした。

 何か忘れていること、落ち度はないか…。繰り返し自身に問答する。

 僕は、きっと襲撃されても、捕らえられても、毒を盛られても、なんなく無傷で生還できるだろう。こんなことは思いたくないが、『LUNA』を人ならざる者と知っていて利用しようと企んでいるのであれば、相手がFBIでも対峙しなければいけない。

 僕たち『天使』を搾取するのは、神の意思に反するのだ。


 打ち合わせを終え、僕とニコラス、ミケーレとマリアンジェラは学校に行く準備を始めた。

 軽く昼食を食べ、子供達にもこれから起こるかも知れない事を伝えておく。

「ミケーレ、マリー、よく聞いて。僕とアンジェラで考えたんだけど、FBIがLUNAに会いたいって言ってるんだ。」

「ほぇ?なんで?」

「船が転覆するのを助けた時に、動画をいっぱい撮られてしまっただろ?」

「しょーなの?」

「あぁ、その動画の人物とアンジェラのプロモーションビデオのLUNAが同じ人物だと特定されたと言ってるんだ。」

「へー…しょっか。よくわかんにゃいけど、めんどくさいね。」

「マリー、そうなんだよ。面倒なんだ。LUNAが僕ではないってことを印象付けるのと、LUNAが人間じゃない事を見せつけることが必要だと僕とアンジェラは考えているんだよ。」

「あのさ、ライル…。僕も一緒にいくのはどうして?」

 ミケーレが僕に聞いた。

「ミケーレ、君は時間を止めるという究極の能力を持っているだろ。もし僕がLUNAになっている時に襲撃されても、ミケーレが時間を止めてくれたらどうにかなるんじゃないかって思ってるんだ。」

「…それ、すごくうれしい…。でも僕、どうやって時間を止めてるかわかってないんだよ。」

「万が一だ、そうならない事を祈っている。」

「うん。」

「マリーも行きたいな。」

「そうだな…その日はマリーにも来てもらって、ミケーレとアンジェラ、そしてニコラスを守ってくれるか?」

「りょーかい!」

 可愛く敬礼をするマリアンジェラに顔が緩む僕だった。

 僕の懸念が、まさか本当に起きるとは、この時は一ミリも考えていなかった。

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