表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/696

60. 前世の僕?

 僕は夜中に目が覚めて、暇つぶしに昼間読みそこなった古い本を読むことにした。

 その本の題名は「悪魔信仰」。なかなか強烈だね。

 えーと、大天使ルシフェルが、裏切りにあい悪魔へと変貌してしまう。と。

 うーん、ルシフェルが悪いってっことばっかり書いてあるなぁ。

 あ、美術館にあった絵と同じ挿絵が載ってる。

 破壊の天使「ライラ」。

 あ、悪魔信仰の話が書いてある。えーっと、封印された魂を抜かれたルシフェルの亡骸を復活させるために、砕けて散った天使の魂の核を十二個集め、封印の間に献上し、魂を再び呼び覚ませ。と。うわ~、封印の間の絵がついてる。

 あ、あれ?どっかで見たことある部屋だし。

 ここ、行ったことあるところだ…。

 僕の頭の中でフラッシュバックが起こる。あ、頭が痛い。

「うっ。」

 僕は意識を失った。

 僕は誰か別の体の中に入っていた。

 大きなお屋敷、ヨーロッパの宮殿みたいだ。

 僕が入っているのは女性の体だ。

 ベッドの中で目が覚めたところのようだ。背中に翼が生えてる誰かが横に寝てる。

 ひぇ~、手が伸びてきた。

「おいで、私のかわいい人。」

 腕を引っ張られて顔をのぞかれる。あ、アンジェラ~。えええっ…。

 こっちも全裸だし…。きゃ~、誰、この体は…。

 自分じゃコントロールできないから、成り行きを観察するしかないけど。

「ルシフェル、あなたも私のかわいい人よ。うふふ。」

 え、アンジェラという名前ではなくて、ルシフェル?悪魔になったっていう大天使?

 というか、とても悪魔には見えない、よね?いつものアンジェラより色がもっと白いし髪も全部同じ白い色だけど。

 人間じゃないってことか…。

 あっ、移動を始めた。二人で湖?池?で水浴び?めっちゃ楽しそう。

 水に自分が入ってる姿が映る。あれ、僕じゃん。おねえさんの時の…。

 あれ?僕は男ではなかったわけ?あー、ちょっとびっくりだわ、それ。いや、かなりびっくりだわ。

「ドスッ。」

 うっ。あれ、背中が痛い。うっ。肩も。

「うぉー。」

 ん?

「ライル!目を開けてくれ…。」

 僕はアンジェラの寝室のベッドの上で目を覚ました。

「あれ?死んではないか…。」

「ライル、よかった。戻って来た。倒れてたんだよ、本の置いてある部屋で…。」

 アンジェラ、相変わらず号泣。あ~泣かしちゃった。

「ごめんね。人間の世界じゃないとこまで行ったみたい。」

 僕は意識を失い倒れていたらしい。血液を触った時の現象に似ている。

 さっき見た光景をとりあえずアンジェラに報告する。

「アンジェラがいたよ。天使で、ルシフェルっていう名前だった。僕もいてさ…。僕は女の天使で、このままの姿でさ、二人は恋人同士だったみたい。」

 アンジェラの顔が赤くなって喜んでるのがわかる。

「だからこんなに胸が苦しくなるのか…。」

 そ、そうなんですね。僕も同じような気持ちになっているので、多分、そうですね。

「あ、それで。さっきは急に背中と肩が痛くなって…。そうしたらルシフェルが叫んで…。死んだのかと思ったんだけど…。」

 もう一回行かないとわからないかな…。さっき行ったから行こうと思えば行けるかな?次元が違っても行けるのかな?試すのはちょっと怖いかな…。

「あのさ、アンジェラ…。何があったか知りたいからもう一回行こうかな…と思ってるんだけど。」

「ちょっと待て、ダメだ、それは…。」

「でもさ、ちょっと頭が混乱しそうなんだけど、どうなったらハッピーエンド?

 一. 僕と同じ顔の天使を助ける。

 二. 何もしない。

 三. 悪い奴をやっつける。」

「だめだよ、ライル。手を出したら、僕たちが出会えなくなる。僕の百三十一年が消える。今までずっとずっと君を待ち続けてやっと会えたのに。」

「そっか…。そうだよね。気にはなるけど…。今のままでいいね。」

 アンジェラはうんうんと頷きながら、僕をがっちり掴んでいる。

「だけどさ、名前だけでも調べて来たいな…。」

「ダメ。」

 ですよね~。じゃあ、とりあえずのところ行き詰った。

「なんか、さっきの感じだとルシフェルは悪くないのかもね?あの本に書かれていることの信ぴょう性が低い気がするよ。ルシフェルが悪いとばかり書いてあったけど、なんか理由もちゃんと書いてないし。」

「そうか…。」

 アンジェラは僕に一人で勝手に色々な物に触らないことを約束させ、その日は眠ったのである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ