5. 夢の中で聞いた声
真っ暗闇の空間で、僕は目を開いた。
ここは、どこだ?洞窟?穴の中?箱の中?あ、いやいや。僕は夢を見ているんだ。
はい、正解~。でも、こういう夢は初めてだな。
なんて思っていたら、目の前に輪郭がうっすらと白く輝く蒼くて黒い球が浮かび上がる。
そして、それは次の瞬間、青白い炎を全体にまとい少し大きくなり、上下に少しずつ揺れながら僕との距離を保っているように見える。
うわっ、火の玉系?妖怪が出そう。いや、幽霊か。とにかく邪悪な感じだ。
そういうの、僕は苦手だ。
その時、「…、…、…」とすごく小さなかすれるような音がその球から聞こえてきた。え?この丸いのから聞こえてくくるのかな?
「…、……」ん?
「…名は?」え、僕に話しかけている?
さすがは夢だ、かすれた音が段々言葉に聞こえてくる。
まぁ、夢だし、とりあえず、答えるとこだな。
「僕は、アサギリ ライル だよ。」ちょっと外人に話しかける風に言ってみる。
ゴォーッ、と火の球の炎が大きくなる。
ううわっ、こわっ。熱っ。夢なのに熱いって変じゃない?
「なぜ助けた?」
火の球が渋いおっさんの声で僕に話しかける。
うわ、何のことかわかんないやつだ。だいたいさ、火って何だろ?普通しゃべんないよね。
「え?何のことかな。ごめんなさい。」
とりあえず、謝っとこ、うん。
「まぁよい、覚悟はいいか?」
やべ、さらに意味不明。とりあえず何か言わないダメだよね。
「覚悟?うーん、まぁ、あるってことで。」
火の球の炎が少し小さくなる。
「望みは何だ。」
いきなり望み聞く?望み?金の斧銀の斧みたいな感じだとすると欲張っちゃだめなやつだね。
「望みって言われてもな…。愛…かな。」
こういうこと聞かれてるか不明だけど…。あ、違うか?お金とか、名声とか、そういうのかな?
「…そうか。」
言葉の終わりと同時に蒼い炎が大きくなり、僕の体を包み込む。
あ、熱い~、死ぬ~。
僕の意識はそこで途切れた。