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47. 白日夢

 結局、僕はチョーカーを着けても翼が引っ込んだだけで、体が元に戻らないまま夜を迎えた。

 父様がなぜか心配しておろおろしていた。

 娘がいたらこんな気持ちなのか~とか言って取り乱してた。

 大きめの父様のTシャツを着て、パンツをはいてとりあえず部屋に鍵をかけて寝落ちした。


 僕は夢を見た。とっても、楽しい夢だった。

 徠人と僕と二人で手を繋いで、遊園地で乗り物に乗って、アイスクリームを鼻にくっつけて食べたり、腕を組んで歩いたり。

 え?ちょっと待て。なんかおかしくないか?

「おかしくねえだろ。だまって続きを見せてくれ…。」

 ん?あぁ、徠人がいつもよりさらに優しくて、僕は自分の気持ちがよくわからなくなる。

 徠人が僕に近づいて、ん?すごい近い。

 え?すごい近いんだけど。

「大丈夫、いつものことだよ…。」

 そっか、いつも近かったな。

 でも、でも、唇と唇のキスは初めて…。

「ギャー。やめてよ、もう。なんで鍵かけたのに勝手に入ってきてるの?」

「ん、寒かったからな。」

 僕は徠人に唇を…ファーストキスを奪われてしまった。

「父様~。」


 父様は非常に複雑な心理状態であったと思う。目がこわい。

 僕は金髪碧眼はそのままだけれど、髪は腰まで長く、ゆるくウェーブがかかり華奢で背は155㎝くらいの小柄な中学生~高校生くらいのお姉さんになっていた。

 アンジェラはリラックスできないと元に戻れないから、こういう時だからこそ外に買い物にでも行こうと言う。

 まぁ、いつもの僕より背が高い状態なので、父様のダサい服を着ることになるわけで、とりあえず父様のジャージを着てショッピングモールで服を買うことになった。

 あぁ、やだジャージってダサい。

 どうせすぐに戻るのだから要らないでしょ…と思いつつ、アンジェラがすごくかわいい服をどんどん選んで買ってくれる。

 もしかして、みんな女の子が欲しかったわけ~?

 かなりショックを受けながらも、いつまで続くかわからないこの状態になぜそんなにみんな食いつくのか…理解できないまま、アンジェラの散財に付き合ってやろうなんて

 思ったのだった。

 両手に大量の紙袋=戦利品を抱え、めちゃくちゃ嬉しそうなアンジェラ。

 お姉ちゃんがいたら、こんな風なんだろうな…。

 と思ったら、結構周りに僕たちの写真撮ってるやつらがいる。

 あーまずい、今度は本気の恋人報道だ…。

 そこに、徠人登場…。

「アンジェラ、悪いけどさ、俺のだから、返してくれよ。」

 え?え?俺のとかってなに?

 徠人は僕の腰に手を回してそのまま耳元にささやく。

「おいで。」

 え?え?何?どうして抵抗できないの?

 結局、徠人が持ってきた服に着替えさせられ、遊園地に連れてこられた。。

 徠人が手を恋人繋ぎで、僕の歩幅に合わせゆっくり歩いて僕を見つめる…。

「ソフトクリーム食うか?」

「う、うん。」

 恥ずかしい。一つのソフトクリームを徠人と二人で食べて。

「あん?鼻についてんぞ。」

 ぺろっと僕の鼻を舐める。

 やだ、やだっ。いつもの徠人じゃない。ん?どっかで見たような…夢?

 徠人が僕の顎を持ち上げて、唇に唇を重ねる。

 あっ。やだ。やだ。

 好きになっちゃだめだよ。だって、おじさんと甥だよ。

 どうしたって駄目だよ。キモイし…。

 僕は、そこで意識を手放した。


「ライル、寝てるのか?」

 僕の頭に直接語りかける声が聞こえる。

 ん?なんだこれ?あれ?Tシャツを着た僕…。

 え?夢だよね?全部夢でしょ?

 パンツの中を確認する。あ、あった。大事なやつ。良かった~。

「ライル、起きたのか?」

 また頭の中に直接話しかける声が聞こえる。

「徠人、どこにいるの?」

「自分の部屋。」

 え?徠人の部屋に行ったら、縄で縛られてベッドに括り付けられている徠人がいた。

「もしかして、あれは夢じゃなかったってこと~?」

 あぁ、僕の人生終わった。

 明日週刊誌に書かれて、あれは誰だって話になる。そして徠人と遊園地に行ったのも全部報道されちゃうんだ。

 あぁ、最悪だ…。

「早く解いてくれ。」

「しばらくそのままでいたら?」

「おいおい、わかってないな。俺が本気のキスをしてやったから元にもどったんだぞ。」

「意味わかんない。」

「おまえだって本気だったじゃないか。」

「…。徠人変な能力使っただろ?」

「え?」

「やっぱり…。おかしいと思ったんだよ。もう。やめてよ。本気で徠人のこと好きになっちゃってどうにかなっちゃうかと思ったよ。もう。キモ過ぎ。」

 実は、徠人はこの時一切能力は使ってはいなかった。本気で女の子になったライルをかわいいと思い、好きになってしまったため、全力でアプローチしただけだった。

「誤解だーーーーー。」

 その叫びは僕には届かなかった。


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