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469. ダメな父親真実を知る

 僕は、そのまま実際の時間の流れに戻り、日本の朝霧邸の自室に転移した。

 ベッドの上にスクラップブックが広げたままになっている。

『なんだこりゃ?』

 開いてあったページを見て笑った。

 自分の花嫁姿だ。いや、リリィか?いや、やっぱり僕か?

 正直言って黒歴史としか思えない時期のものだ。

 僕とリリィが体を共有しており、意識が僕で体がリリィの時期も度々あったからだ。

 スクラップブックに触ると父様が切り抜きをノリでくっつけてるのが見えた。

『はぁ?あんだけ反対してずっとぷんすか怒ってたのに、こんなもの作ってたのか…。ははは…。』

 僕はパーカーを脱いで父様に着せてきてしまったので、中に着ていた白い刺繍入りのドレスシャツと黒いデニムを着ている状態だ。


 僕はそのままホールに下りた。階段を下りている途中で、マリアンジェラが泣きながら走って来るのが見えた。

「マリー、泣かないで。ごめんよ。急にいなくなって。」

「うっうっ、うぇっ…。」

 マリアンジェラが僕にしがみついた。マリアンジェラを抱き上げてホールに下りると皆心配そうに僕を見た。シャツの袖に、血がついていたからだ。

「あ、ごめん。気になるよね…。ちょっと怪我した人を治してたもので。ははは。」

 床にマリアンジェラを下ろした時、僕が手に持っているものにマリアンジェラが気が付いた。

「ライル、これなぁに?」

「あ、持ってきちゃった。」

 それは航空機の形のキーホルダーだった。父様が沖縄に行くと嘘をついてハワイに旅行に行った時に航空機内で買ったお土産だ。多分、自分のために買ったんだろうけど…。僕はすっかりしょんぼりしている父様にそれを渡した。

「ごめん。持ったまま帰って来ちゃった。返すよ。」

「ら、ライル…これは…。」

「あ、ほら、僕三歳の時にインフルエンザで死にかけたでしょ。あの時、父様が乗ってた航空機の中で買ったやつだよ。ホノルル行きの。」

「なに?徠夢、お前沖縄に旅行に行ってたって言わなかったか?」

 おじいさまが父様の耳を引っ張っている。

「いでで…。す、すまなかった。」

「全く、お前は本当にクズだな。」

 おじいさま、代弁ありがとう。そこで、父様が口を開いた。

「そういえば…ライル、お前、その髪…」

「ん?あ、あぁ上位覚醒した時にプラチナブロンドになっちゃうらしくて、いつもはイメージ壊さないように前の色と長さにしてるんだ。さっきはいきなり魂とエネルギー体が分離しちゃって、核の制御が効かなくなって、解除されちゃったみたい。鏡見てなかったから、こうなってるとは思わなかったよ。」

 そう話終わるか終わらないかの時、父様が僕に抱きついてワンワン泣き始めた。

「はぁ?どうしたのさ…恥ずかしいんですけど。」

「ライル…お、お前が私を助けてくれたのか?頭から血がドバドバ出てたって友達が教えてくれたんだが、血は頭や顔についていたけど、怪我はどこにもしていなくて…。」

「あ、うん。実はさ、今行ってきたところだよ。あれはヤバかったね。飛行機の窓が割れたらかなりヤバいね。最近使えるようになったミケーレとジュリアーノの能力をフルで使ってどうにか回避したよ。放っておいたら落ちる前に全員凍死だよ。」

「友達が銀髪ロン毛の天使が現れて、私を救ったと言っていたが、私は寝ていた間に頭に血がついていただけだと思っていたのに…。すまん。本当にすまん。

 あれで死んでも自業自得。天罰が下ったのかと思ったほどだ。」

「うーん、まぁそれなりに傷ついたよ。『あいつの泣いてるのみたことない』とか『別に欲しくて産ませたわけじゃない』とかね。なんであんなシーンに飛んだのか、何かの修行?とまで思った。」

 父様は顔を上げずにずっと泣いていた。


「ライル、パーカーはどうした?」

 アンジェラが気付いて僕に聞いた。

「あ、ごめん。父様のセーターに血がついちゃったから脱がせて代わりに着せたんだ。せっかく作ってくれたのに、ごめん。」

「そうだったのか…。いや、いいんだ。寒くないかと思っただけだ。」

「あ、僕は寒さを感じないから大丈夫だよ。」

 何気に、父様を僕からマリアンジェラが引きはがしてくれた。


 ここから、ようやくクリスマスパーティーを楽しめそうだ。

 時間は午後8時過ぎ…ずいぶん航空機内にいたようだ。

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