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458. ジェイミーのその後(2)

 朝食の準備をしているお手伝いさんのヘルプをしようとダイニングへ急ぐと、そこには三日振りのアンジェラがいてサラダの大皿をテーブルの上に置いていた。

「アンジェラ、もう平気なの?」

「ライル、悪かったな。何日も子供達の世話やらを任せてしまって。」

「イヤイヤ、僕だって親の一人だよ。逆に今までやらな過ぎたのかもしれない…。」

「まぁ、今日からはもう大丈夫だ。会社としての方針が決まって、LUNAは依頼して仕事してくれる存在ではないと答える事になったからな。」

「そうなんだね。」

 どうせ探しても世の中に存在しない人物なのだ。そっくりさんを探すのも難しいだろう…。

 もう朝食の準備が出来た様で、アンジェラがマリアンジェラを起こしに行った。僕はリリアナとアンドレのところに行った。

 リリアナが大きなあくびをしてアンドレに支えられている。

 夜遅くまで双子が寝なくて手こずった様だ。

 リリアナ達はもう少し眠ってから朝食にするという。


 ダイニングに戻ると、マリアンジェラとミケーレが座ってまだ眠い目をこすっている。

「二人ともおはよう。」

「「おはよう〜」」

 アンジェラが二人のプレートにいつものように取り分けて行くが、マリアンジェラの様子がおかしい。

「パパ、マリーお腹すいてにゃいから、ジュースだけでいい。」

 それを聞いたアンジェラの驚いた顔が、笑えるくらいすごかった。

「マリー、どこか痛いのか?」

 真剣に心配するアンジェラに、マリアンジェラが言った。

「昨日の夜にね、残ってたビーフシチューをさっきお腹が空き過ぎてついつい食べちゃったのよ。ライルもいなかったし、みんな寝てたから一人で食べちゃった。」

「マリー、鍋を火にかけたのか?危ないから一人でやっちゃダメだ。大人に頼まないと。」

 マリアンジェラは首を傾げて返した。

「そんな事しなくても温かかったよ。」

 よくわからないが、そんな事しないで食べた様だ。

 そんなやり取りをしているうちに結局お腹が空いてきた様で、スコーンとベーコンを食べ始めている。

「ところで、ライルはどこに行っていたんだ?」

「あ、うん。ジェイミーがどうなったか気になってさ。病院に行っていたんだ。虫垂炎で手術を受けたみたい。」

「そうか、無事で良かったな。」

「うん。あとね、幸か不幸か叔母さんは夫と別れ所在不明らしく、ジェイミーは元の家には戻らない様だよ。看護師が警察と精神科医が話してるのを聞いたみたい…児童養護施設に入る事になるだろうって。」

「そうか…。いいのか悪いのかわからない結末だな。」

「そうなんだ。今日サムに会いに行くんだけど、彼も帰る家がないって事になるし。」

「まぁ、どうにも難しいな。関与も出来ない問題だ。」

「そうだね…。あのベンの所がちゃんとしていれば、養子にでも受け入れ出来るだろうけど。

 子供の出生を届けていないだけでアウトだろうしね。」

「そこは本当にマズイ状況からだな…。」

 そこでマリアンジェラが話に割り込んできた。

「ねー、パパ出生を届けてないって何?」

「あぁ、マリー。例えばマリーとミケーレが生まれた時に病院で証明書をもらって市役所にこの子達はウチに生まれた私と妻の子供です。って届け出るんだ。」

「届けなかったらどうなるの?」

「この世に存在しない事になって病院にもかかれないし、もし見つかったら親が罪に問われるだろう。」

「可哀想ね。生まれた時に戻って届け出したらいいんじゃないの?」

「え?」

「そうか、マリー、素晴らしいアイデアだ。」

「どう言う事?」

「その子の生まれた時に戻って、助産師を無理矢理同席させるんだ。嫌でも出生届を出す事になるさ。」

「そんな簡単に行くかな?」

「届けなかったら病院にもかかれず、死んだりしたら葬る事も出来ないと暗示をかけろ。」

「あ、うん。でも僕助産師知らないよ。」

「アメリカの雑事を任せている奴に昔から助産師をやっている人を知らないか聞いてみるよ。」

「あ、うん。ありがと。」

 なんだか直接的ではないが介入する事になってしまったようだ。

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