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414. ハッキング被害

 10月6日、水曜日。

 僕、ライルは朝起きて身支度をしてダイニングに行った時にそこにアンジェラとリリィがいないことに気づいた。

 僕の後ろからマリアンジェラがついてきていたが、ミケーレはすでにダイニングテーブルに並べられた朝食を食べ始めていた。

「おはよう。」

 僕が言うと、ミケーレ、リリアナ、アンドレが同時に「おはよう」と言った。

「あれ?アンジェラとリリィは?」

 リリアナが廊下の方を指差して言った。

「書斎にね、二人で入ってて対応に追われてるんだって。」

「ん?何の対応?」

「えーっと、確かウェブサイトのハッキング?って言ったかな?」

 リリアナがそう言うとアンドレも頷いて言った。

「そうだ。昨日の夜にアンジェラが会社のサーバーにアップした画像がハッキングされたらしくて、ネット上に拡散してしまったらしい。」

 昨日の夜っていうと僕らの衣装画像?

 そんなもの拡散されたからと言って何か問題でもあるのだろうか?


 マリアンジェラの朝食をプレートにのせ、食べる準備をしてあげた後で、僕はアンジェラの書斎に行った。

 アンジェラとリリィがオンラインミーティングの最中のようだ。

 取り込み中のようなので、その場から去ろうとした時、アンジェラが気付いて呼び止められた。

「ライル、ちょっと待て…。」

「ん?僕?」

 アンジェラはオンラインミーティングのマイクをミュートにして、自分たちの音声が相手に聞こえないようにした上で、僕に言った。

「すまない。実は昨日撮影した画像を会社のサーバーに保存してあったんだが、ハッキングされネット上に流れてしまったのだ。」

「まぁ、ゴンザレスさんのプロモには貢献できなかったかもしれないけど、別に仕方ないよ…。それとも何か問題が?」

「実は…翼を出している画像と、少し飛んでいるというか、浮いている画像もあってな…。時差があるせいか、まずは日本の事務所に問い合わせが殺到してしまっているんだ。」

「え?どうして?別に画像くらい今の時代いくらでも加工できるんだよ、CGだって言い張れば…。」

 その時、僕の額が熱くなった。アンジェラは僕の額からうっすらと金色の光があふれたのを見たようだ。

「あ…あぁ…。」

 僕が変なうめき声をあげた時、アンジェラが駆け寄ってきた。

「大丈夫か?ミケーレの能力なのか?」

「あ、大丈夫。ちょっと脳が震える感じがしてさ、解決方法なのかもしれない何かが見えたんだ。」

「どんな内容だ?」

「『リアルエンジェル・プロジェクト』」

「なんだ?意味が解らないぞ。」

「アンジェラの会社で、大々的にプロモをするんだ。その名は『リアルエンジェル・プロジェクト』。否定すると追われる。隠すと暴こうとする。だから敢えて、僕が本物の天使だと思わせるような動画や画像を配信して、その上でそれ以外の露出を多くするんだ。」

「しかし…」

 アンジェラは難しい顔をした。僕は続けた。

「まず、謝罪文を載せるんだ。弊社で企画し、展開予定の『リアルエンジェル・プロジェクト』の画像がハッキングにあい、流出した件について」

 アンジェラは、僕のその言葉を聞き、少し軟化した態度を取った。

「そうか…あくまで企画でこういう動画や画像を撮影したと…。」

「そうだよ。そして、ハッキングと流出には厳罰を持って対応したいとするんだ。きっと、見ている人は興味をそそられるはずだ。」

「でも、最終的にどうする?」

「僕が囮になればいい。」

「どうやって?」

「まず、僕だ…。僕は誰の姿にだって変化できるのだから…捕まることも、殺されることもないだろうし…。最悪の場合、CMを流せばいいよ。僕が赤い目で見た者の意識を変えるさ。」

 アンジェラがオンラインミーティングのマイクのミュートを止めて話始めた。

「皆、すまない。日本のチームは弁護士の手配と被害届を出す準備をしてくれ。

 イタリアのチームは、プロモーションの準備だ。

 アメリカ本社のチームは、企画出してくれ。『リアルエンジェル・プロジェクト』、そういうテーマで大々的なプロモを展開する。あと、本社のセキュリティ部門、サーバーのハッキングとはけしからん。もっと強固な体制でやれ。いいな?」

 オンラインミーティングはそこで終了した。


 果たして、流出した画像への問い合わせとはどんなものなのだろう…。

 ライルは自室に戻り、一人エゴサーチをして状況を把握しようとするのであった。


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