40. ガーディアン・エンジェル徠人
九月九日木曜日、朝は徠人に起こされて始まった。
「おい、起きてるか?」
「ん?何、まだ早すぎるよ…。」
「実はな、この前やってもらった筋肉の運動な、あれ、腹筋にもうちょっとやってくんないか?どうも腹筋が弱くて腹に力が入んないんだよ。たのむ。」
「もう~、朝から全裸でやらせることじゃないでしょ~。」
「ちゃんときれいに割れるようにやってくれ。」
「はい、はい。」
僕は渋々全裸で横たわる徠人の腹筋に手を当て、筋肉を少しずつ動かすよう力を流し込む…。500回、1000回、1500回…。
「ラ、ライル様。一体何をさ、されているんですか?」
かえでさんが朝食ができたと言いに来たところで、ドアが開いてたらしくこの非常にあやしいマッサージをしているところを見られてしまった。
しかも僕たちは二人とも全裸で。
はーい。終わりました。僕は変態さんのお仲間に決定でぇす。
しかーし、そこで徠人は言ってのけた。
「かえでも一緒にどうだい?」
おまえ~、絶対ゆるさないぞ。
全く取り繕うことも出来ず朝食の時間を迎える。
静かに朝食を食べていたら、父様が起きてきた。
「おっ、二人とも今日は早いな。」
「えぇ、また誰かさんのせいで変態だと思われちゃってますから。目も覚めますよ。」
「…?」
「で、あんた。腹筋は割れたのかよ?」
「あぁ、いい感じになったよ。これ以上バキバキにしちゃうと俺の美しさを壊しちまうからな。これがベストだ。ふふっ。」
さすがの父様も察したのか苦笑いを浮かべている。
「徠人、そういえば体の方は後遺症とかないのかい?」
「あぁ、大丈夫そうだ。毎日ライルと寝てるからな。」
ん?どういう意味だ?ちょっと待て、どういう意味だよ。
「え?ライルと寝ると何か変わるのかい?」
「あ、徠夢に言ってなかったか?俺はドリームイーターなんだ。」
「え?何それ?」
徠人は、僕たちに説明した。
他の人間の夢、特に悪夢を自分の力に変える能力なんだそうだ。
他人の夢の中にも入り込めるらしいが、それだと自分が疲れるらしい。
この能力を使えば、強制的に眠らせることも出来るらしい。
なるほど、最近夢見てないわ、確かに。
でも、全裸になってやることじゃないとは思うよ、うん。
ちゃんとかえでさんにも説明しといてよ~。
食後、慌てて学校に行く準備をする。
よし、まだ徠人は来ていない。オッケー、振り切るチャンスだ。
ダッシュで、エントランスを抜けて鍵を閉める。
2ブロックくらいは猛ダッシュだ。
よーし、今日は一人で学校に行ける。
息を整え歩き始めたとき、前方の電信柱の脇に、うんこ中の仔犬がいた。
で、電信柱の陰に…あら、ららら、徠人がリード持って、うんこさせてます。
「ほら、おまえの仕事だ。」
そう言ってアダムのうんこを掃除させられた。
くそっ。素早いやつめ。
結局、今日も徠人と学校まで一緒に歩いた。
徠人は時々僕の肩に手を回したり、頭をなでたり、抱き寄せたりする。
他人が見たら、絶対恋人同士だと思うような行動だ。
「あのさ、あまりくっついてると人に誤解されちゃうから、やめてよ。」
「何を誤解されるって言うんだ。そういう関係なんだから、思わせておけ。」
「いや、絶対間違ってるって、その感覚。」
「大丈夫だよ、おまえは、ただ、嫉妬されるだけだ。自信を持て。いいな。」
「何に自信を持てっていうんだよ。」
「ふっ、わかっていないな。おまえも美しいということだ。な、俺のライル。」
げー、やだやだやだ。もうやだ。
ほら、周りの人達、絶対聞いてたよ。
もおっ!僕は走って学校に入った。
外では、徠人がアダムを抱いて帰る途中である。
「あ、あの~?」
「なんだ?」
「お名前聞いてもよろしいでしょうか。」
「無理だ。」
徠人は身の危険を感じてダッシュで家に帰った。
自分の事を色目使って見てくる人間が恐ろしいと思う徠人であった。
やっぱり身内意外には近寄らない方がいい…。
動物病院が開く時間だ。普段なら三組程度の患者さんしかいないところだろうが開院時間から駐車場も待合室もあっという間にいっぱいになった。
徠人は少しだけ右の口角を上げ微笑みながら言う。
「今日は、どうしたのかな?」
動物を連れてきた女性はこれでもう満足であった。
徠人は次々と受付を済ませ、徠夢へと診察を促す。
今日も来院数の記録を更新しそうだ。
その日の午後、父様と徠人が動物病院の休憩時間に家で昼食をとっている時に石田刑事から電話がかかって来た。
あの、麻酔薬を首に刺した女に僕を会わせたいという。
ずいぶん時間がかかったものだと思うが、父様の指摘通り、奥歯に仕込まれた
毒薬を取り出したり、色々と調べていたようだ。
医者の見解では、なぜ目が覚めないのかわからないと言うことで、一応面目上は、あの場所で襲ってきたのはこの女かどうかを僕に確認するというもの。
念のため、保護者の同伴が必要ということで、徠人が一緒に行くことになった。
徠人の提案で、石田刑事と徠人で学校の前で僕を待つという。
スマホに父様から連絡が来ていたので、学校の終礼が終わると同時に猛ダッシュで校門を目指す。
しかし、昇降口で足を引っかけられ転倒した。
「いってー。何するんだよ。」
僕の足を引っかけたのは、あの「橘 ほのか」だった。
「あんたが、無視するからでしょ。」
「ちゃんと教えただろ、あれは、僕のおじさんだって。」
機嫌の悪そうな顔で橘ほのかは僕を睨みつける。僕の膝から結構血が出てるんですけど…。
さすがにここで治すわけにはいかない。無視して進もう、刑事さんも来てるし。
「急いでるから。」
「ちょっと、待ちなさいよ。」
橘ほのかはしつこく僕のカバンを引っ張りながらついてくる。
あ、徠人と石田刑事がいた。
「おじさん、刑事さん、助けて~。」
「ライル、お兄様と呼べと言っているだろ…。」
そういいながら、相変わらずべたべた僕に触る徠人。
「ところで、おまえのカバンにくっついてるその雑魚はなんだ?」
「刑事さん、こいつストーカーだよ。足引っかけて転ばせたり、しつこく付きまとって迷惑してるんだ。ほら、見て。今そこでやられたんだよ。助けて。」
「おやおや、そちらのお嬢さんは、暴行罪で逮捕されたいということですかね。」
石田刑事がニヤニヤして言うと、橘ほのかは慌てて手を放し、徠人をじっと見つめて頬を赤らめて言った。
「あ、あの橘ほのかです。はじめまして。」
「あん?」
「どうしてもあなたとお話ししたくて、朝霧君にお願いしたかったんです。でも、話も聞いてくれなくて。」
「当たり前だろ、俺は家族意外とは必要のない話はしない主義だ。以上。
さ、行くぞライル。大丈夫か、足?ひどいやつだな、あの雑魚。」
徠人も演技なのかなんなのか、極端すぎてよくわからないが、優しく僕を抱き寄せ橘ほのかを放置してその場から離れた。
石田刑事の誘導で警察の車両に乗り込み、病院に移動する。
「まじ、殺されるかと思った。膝、割れてないだろうか…。痛いよ~。」
「早く治しちまえ。」
「え、ここで?」
そのとき石田刑事が助手席からこっちをちらっと見る。
「どうした、ぼうず、いやライル君だな。絆創膏ならあるぞ。」
「あ、いえ大丈夫です。」
僕はなるべく見られないように膝の傷を治した。最後にハンカチで血を拭きとる。
「あのガキ、むかつくな。俺が呪っといてやるから安心しろ。」
「あんたが言うと本当に呪われそうで怖いよ。」
三十分ほどかかって、病院に到着し、手続きを済ませて面会することになった。
相手は意識がないので、近くまで行って顔を見ても大丈夫とのこと。
そこで、事前に石田刑事に聞いておく。
「あの、目を覚まさせた後に、素直に全部話すように指示した方がいいですか?それとも、目を覚ますだけでいい?」
一瞬、石田刑事は不思議そうな顔をしていた。
「あぁ、目を覚ますだけで十分だ。」
「あの人、暴れたりしないかな?」
「拘束されているから大丈夫だと思うがな。」
「じゃ、安心ですね。」
いよいよ病室に入る。
「じゃ、おっさん以外は出ててもらえるかな?」
徠人が石田刑事に言うと、石田刑事も頷き、他の警察官たちを外に出す。
医療スタッフは一人残さなければいけなかった。
「じゃ、ちょっと失礼しま~す。」
と言いつつ、両方の瞼を指でパカッと広げて、心の中で命令する。
「さあ、起きろ。」
指を離すと、女は少し大きな息をして、瞼を開けた。
「ど、どこだ、ここは?何する。手をほどけ、ぎゃー。」
拘束してるとはいえ、手がちぎれそうなくらい暴れてますけど、舌とか嚙んじゃったりしませんか?
僕と徠人はとりあえず病室から出て、少し石田刑事が出てくるまで待つことにした。
中はすごい大騒ぎだ。その時、ドタバタの音が止んだかと思ったら、医療スタッフが大声で叫んだ。
「まずい、舌を嚙んだ。すぐ、先生を呼んで!」
あぁ、思った通りだね。石田刑事が出てきて同じことを言ってる。
「このままだとまた死んじゃって、話きけなくなりますね。
おとなしく素直に全部話すようにしておいた方がよかったかもしれないですね。」
「ライル、警察にだってやり方があるんだろ。それにお前が言わせたと思われても困るからな。いいんだよ、これで。だろ?おっさん。」
「んー、まぁよくわからないけどな。死んだら聞けないのは確かだな。」
「じゃあ、助けてあげてもいいけど。ね?」
「それは、どうだろうな、おまえ医者じゃないから、病院で医療行為はまずいんじゃないの?自分の膝治すのとは違うぞ。」
石田刑事が僕の膝を見る。
「ぼうず、膝、膝はどうした?」
「そ、それは、秘密です。」
石田刑事が僕の手を掴んで病室内に引っ張った。
「頼む。」
「えー、たくさんの人に見られるのはちょっと…。」
また、医療スタッフ以外を外に出してもらった。
痙攣して、多分窒息寸前なのかなこの人…。気を失ってるようだし、そのまま喉元を手は少し離して力をこめる。
舌が外に出た、嚙んだ舌はどうにか繋がっているところがあったので、修復出来そうだ。
心停止してる?
「すみません、これって心停止してます?」
「は、はい。」
「どうやったら動くかな?筋肉ぴくぴくすればいいかな?」
徠人の筋肉ぴくぴくと同じ方法で心臓を控えめに動かしてみる。
あと、肺にいっぱい血が入っちゃってるのはどうしたらいいのかな?
げほっと出すしかないか。あ、何かに浸み込ませればいいか…。
「すみません、手術に使うようなガーゼってあります?」
「はい、持ってきます。」
自分の手を消毒し、医療スタッフが持ってきたガーゼを少し多めに持ちそこにいる人に念を押す。
「ちょっとホラーな感じになるので、覚悟をお願いします。」
僕はガーゼごと胸に手を腕までめり込ませ、肺の中に溜まった血液を浸み込ませる。
もう一回終えたところで、腕を抜く。腕を抜くとみるみる穴がふさがる。
そして、能力を使い一度肺を大きく膨らませて呼吸を促す。
どうにか呼吸も心臓も大丈夫そうだ。
「念のため暴れないように言い聞かせていいですか?口に出して言いましょうか?」
石田刑事は頷いた。医療スタッフは何のことかわからない様子だ。
僕はまた女の両方の瞼を指で開き、目を見て命令する。
「目が覚めても決して自殺しないこと、暴れることもしない、刑事さんの言うことに素直に答えること。」
女の瞳に赤い輪が浮き出た。
「多分、これで大丈夫だと思いますが、輸血が必要だったらしてあげた方がいいかもしれません。あと、手を洗いたいのですが…。」
徠人以外は全員固まってしまっている。
「あ、あぁ案内するよ。」
石田刑事が僕と一緒に部屋の外に出た。後ろから徠人もついてくる。
無言のまま手を洗い、病室に戻ると容体は安定したようだがやはり輸血は必要らしい。
石田刑事は僕たちを家まで送ってくれた。
家に着き、車を降りたとき、石田刑事はちょっと話がしたいと言い出した。
他の警察官を家の外の車で待機させ、石田刑事はうちに入ってきた。
ちょうど動物病院の仕事を終え戻ってきていた父様も一緒に、地下書庫で話すことになった。
最初に石田刑事が口を開く。
「俺は、何か夢でも見てたんじゃないかとおもってるんだが…。」
「おっさん、ほら、見てみろ。証拠の動画。いいのが撮れたぜ。ライル、やっぱ、おまえって最高に便利だな。ふふっ。医者いらねぇし。超クールだぞ、おい。」
徠人はしっかりスマホで動画を撮ってたらしい。
「あれは、夢や幻じゃないんだな。」
「そうですね。残念ながら。」
「なぁ、ライル君よぉ、あれは一体なんなんだ?」
「…。」
そこで父様が口を挟む。
「ライル、どうして人前で能力を使ったりしたんだい?」
「父様、ごめんなさい。犯人の一人が舌を噛んで死にそうになってしまって。また手がかりがなくなると思って…。」
「石田刑事、このことを口外しないと約束してください。
僕たちが狙われているのはこの能力のせいかもしれないので。」
「お、おう。」
「あと、徠人その動画絶対SNSとかに公開するなよ。」
「わかってるって。ふふっ。」
石田刑事の返事は歯切れが悪かったがこれ以上は聞かずに帰って行った。
その後、僕は食事をとる前に自分の部屋のベッドの上で疲労のため意識を手放した。
そして、久しぶりに夢を見た。
真っ赤な血の海の中で僕がずぶ濡れになり何か一点を見つめている夢だ。
生温かい血が手に触れる感触が気持ち悪い。
目が覚めると、昨日着ていた服のままベッドの上で寝ていた。
徠人はいなかった。
さすがに疲れて寝てしまった僕をからかうのは気が引けたのか…。
その時、父様の悲鳴?が聞こえた。
「ぎゃあぁー、やめやめ、やめろ。って。いたい。くすぐったい。死ぬ~。」
ドタン、バタンと音がして、全裸で僕の部屋の前を走って逃げる徠人。
どうやら、父様が今日の被害者になったようだ。
これで僕の気持ちが少しわかってくれるといいんだけど。
父様の部屋に行くと、やっぱり全裸のまま枕で大切な部分を隠している父様がうなだれていた。
わかるよ、その気持ち。
「父様、大丈夫ですか?」
「あ、あぁ、ライル。徠人の馬鹿が、ライルの真似して人の内臓にチョップを入れようとぶっ刺してきたり、脇腹をつまんだりするから…。驚いて起きたら、下着も何も着てないしさ。あいつ、許さん。」
あははは、父様全裸でぷんぷん怒っても怖くないですよ。僕は心の中で突っ込みを入れて、自室に戻りシャワーを浴びた。
服が血で汚れてた。昨日はそれどころじゃなかったからな。
いやだな、もう着れないや、この服気に入ってたのに。
嫌な夢も見たし、なんか憂鬱な一日の始まりだ。
朝食をとりながらも、父様の徠人に対する小言は続いている。
全然気にする様子もなくご機嫌な様子の徠人が、急に話し始めた。
「ライル、気分どうだ?」
「うん、あんまりよくないかな。不気味な夢見たし。」
「そうだろう、俺がいつもおまえの悪い夢を食ってやってたからな。あ、ちなみにな、徠夢の夢は犬と猫しか出てこないぞ。ははっ。にゃんにゃん、わんわん、うるせーったらないな。」
「徠人~、おまえは黙って食べろ!」
「へい、へい。」
そっか、徠人が僕の悪夢を食ってたのか…。本当だったんだ。
食もあまり進まないまま、学校へ行く時間になった。
「いってきます。」
「ライル、大丈夫かい?体調が悪いなら休んでもいいんだよ。」
父様がそう言ってくれたが、家にいると色々考えてしまいそうで学校に行く方がよさそうだ。
外に出ると、後ろから徠人がアダムを連れてきた。
今日も学校までついてきてくれるつもりらしい。
途中、無言のまましばらく並んで歩いていた。
「一人で抱え込むな。俺がついててやるから。何かあったら頭の中で話しかけろ。」
そう言って僕の頬を両手で押さえ、額にキスした。ドキン。
なんだか、不思議といつもと違って嫌じゃなかった。
徠人はなんだか僕の守護天使=ガーディアンエンジェルみたいだな。
僕の中の嫌な気分を吸い取ってくれたみたいだった。
「うん、ありがと。徠人。」
「…。おまえ、そこはお兄様だろ。ふふっ」
徠人の能力はよくわからないものが多いけど、きっとこれもその一つなんだろう。
だから、他人には干渉しないようにしているんだ。
僕は学校の門の前で徠人に元気よく手を振って別れた。
徠人が学校から家に帰る途中、石田刑事が車で徠人に近づいてきた。
徠人を車に乗せ、家に送るついでに話をしたいという。
「それで、話ってなんだ?」
「あの子、ライル君は昨日何をしたんだ?」
「まだ言ってんのか、しつこいな、おっさん。あいつはいわゆる世の中の言葉で表現するなら超能力者ってやつだよ。見ても納得できないのか?
死にかけてたやつを治して、自殺しないように言い含めてたじゃないか。目、腐ってるのか?あん?」
「そ、そうなんだよ、あの犯人の女が目を覚ましたんだが、今日は暴れたりしないで尋問を受けてるらしいんだよ。」
「ならいいじゃないか。何も文句ないだろ?」
「いや、説明が出来なくてな、大量出血して、どこにも問題がないとか…。」
「じゃあ、死んだ方がよかったのか?」
「いや、そういう訳じゃないが。」
「その話、ライルや徠夢の前でもうしないでくれ。ちょっと精神的に参ってるようだから、続けざまだと心が折れる。わかったな。」
「お、おう。」
石田刑事もなぜか徠人には言い返せない。
そこで家の前に到着し、徠人は車を降りたのだった。
何を思い立ったか、徠人は動物病院が始まる前に、徠夢を捕まえて業務改善提案をするのだった。
「アンケート?」
「そう、毎回同じこと聞いて俺が書き込むのは面倒だからな、来た患者の飼い主に書かせりゃいいんじゃないか?」
「まぁ、いいけど。どうしてだい?」
「飼い主の大半が俺目当てだからな。面倒なんだよ。」
「いいよ、好きにして。」
「よし、じゃあ決まりな。ライルが帰ってきたらパソコンの使い方聞いて作るからな。」
「あぁ。」
そういう口実を作ってパソコンを使ってみたいと思っていた徠人であった。