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379. ライルの決意

 僕はマリアンジェラを抱え、家の子供部屋に転移した。

「あ、ライル。マリーいたの?」

「うん。」

 ミケーレがアンジェラとリリィに知らせに走った。

 僕はマリアンジェラをベッドに寝かせると、そっとブランケットをかけて、頭を撫でた。

「もう大丈夫だよ、マリー。」

 アンジェラとリリィがすごい勢いで走ってきた。

「マリー」

 アンジェラが叫んだが、僕は唇に人差し指を当て『シーッ』と合図をした。

 眠っている大きいマリアンジェラを見て、安堵するアンジェラとリリィだった。

 リリアナに頼み、マリアンジェラの側についていてもらい、僕はアンジェラとリリィにあったことを話した。

 封印の間でルシフェルの涙の石を偶然見つけ、愛の女神のいた洞窟に転移してしまったこと。

 多分、マリアンジェラも同様に転移したのだろう。

 泣きはらしたマリアンジェラに触れると、彼女の過去の記憶、生まれる前の意思までを全て見せられたこと。

 マリアンジェラは女神アフロディーテの化身であり、ライルのために人間として生まれる選択をしたことなど、隠さずに全てを話した。

「本人も覚えていなかったようなんだ。それで、元居た場所に引きずり込まれそうになっていて…。」

 僕は、その様子を自分の記憶で見せた。

 リリィは恐怖で顔を引きつらせ、アンジェラは頭を抱えた。

「だが、しかし…そうするとマリアンジェラは私たちの子供ではないという事なのか?」

「わからない。神のすることだ。その可能性もある。」

 ますますリリィは顔をひきつらせた。

 少し長い沈黙の後、アンジェラが口を開いた。

「納得できないことと、妙に納得できることがある。」

「え?何?どういう意味?」

 僕が聞くとアンジェラは慎重に言葉を選んで言った。

「マリーは最初から何でも超越していた。ライルが小さい時だって、あれほどではなかっただろ?」

「そうだね。」

「だが、間違いなくリリィのお腹の中で育ち、リリィが出産した私の子であるのは間違いない。」

「アンジェラ、でも、そこ、実は難しいと思うんだよ。」

 僕はアンジェラに僕の意見を伝えた。元々僕らは天使の末裔だと自分たちで思っている。

 でも、末裔と言うならば、天使の核を持つ者以外の妻を持った時に、生まれた子供のDNAが父親と100%同じであることの説明ができない。

 今まで、わかっているのは僕たちの家系にはたった2種類のDNAのパターンしか存在しないということだけだ。もし、精神だけが転生しているのであれば、僕たちの血縁者のDNAが完全に一致することはないだろう。髪の色、目の色、肌の色に関係なく、精神だけを引き継ぐ転生とは僕たちは違う。天使は人間とはDNAが混ざらないのではないかと思うほどだ。


「アンジェラ、リリィ、僕はこれから非常識なことを言う。」

「え?何よ?」

「僕とマリアンジェラの親子鑑定をしてくれ。」

「ライル、何がしたいの?」

「マリーと僕の明確な関係を知りたいんだ。」

 結果を知ったことにより不幸になるかもしれない。それでもきちんと向き合うことが出来ると思えたのだ。

 僕はマリアンジェラの寝ている子供部屋に戻り、「マリー、おやすみ。明日、朝は一緒に散歩に行こう。」と話しかけた。

 反応はなかったが、僕の気持ちはずいぶんと落ち着いていた。

 鑑定を受けてから、その結果次第で僕の気持ちは決まる。


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