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369. 核の状態

 アンジェラとリリィがフロリダのホテルに戻ると、まだ他の者たちは戻っていなかった。

 リリィがライルにメッセージを送って、戻ったことを知らせた。

 あと30分ほどで戻ると返信が来たので、それに合わせて夕食を運んでもらうように手配した。


 待っている間も私、リリィはアンジェラから目が離せないでいた。

「ねぇ、アンジェラ…。」

「なんだ、リリィ。」

「チューしよ。」

「おいで。」

 二人がチューしまくってた時、ホテルのドアが開いて、子供たちが元気よく駆け込んできた。

 今日はマリアンジェラはちびっこのまま行ったらしく、ミケーレと二人、お揃いの探検隊みたいな格好をしている。

『バァーン』とドアが開き、ミケーレはチューをしているリリィと知らないおじさんを見て叫んだ。

「おじさん誰だ、ママから離れろ!」

 マリアンジェラは、ミケーレの後ろから入ってきて目をこれでもかというくらい大きく見開き言った。

「パパ、しゅっごーい。キラキラの人になったね。」

「え?パパ?」

 ミケーレが頭の上に『?』を浮かべている。

「おかえり、マリー、ミケーレ。楽しかったか?」

 アンジェラがそう言ったのだが、声まで以前よりセクシーになっている。

 子供たちの後ろで完全に置いてけぼりなのは、アズラィールと左徠だ。

「え?誰?アンジェラ???」

「は?マジ?どういうこと?」

 その後ろから入ってきたリリアナとアンドレも同様に驚きの色を隠せないでいる。

「アンジェラなのか?」

「さらに、でかくなってるわよね?」

 さすがのアンジェラもリリアナの言葉に苦笑いだ。

「元の姿になれるように練習する予定だ。しばらく、このままで我慢してくれ。」

 アンジェラはそう言った。


 食事がダイニングテーブルの上に並べられ、ホテルの従業員が飲み物をサーブした後退室した。

「他にもご入用なものがございましたら、お電話にてお申しつけください。」

「あぁ、ありがとう。」

 アンジェラは変わらぬ貫禄でそう言った。

 髪が腰まで伸びてしまったので、後ろに結わえている。それはまたそれでセクシーだとリリィは思っていた。

「ところで、なんでそんなんなっちゃったの?」

 空気を読めないアズラィールが突然聞いた。

 さすがにリリィがチューをしたせいだとは言えず、少し歯切れ悪く説明した。

「あ、うん、そうだな…。リリィが小惑星に衝突したせいで、リリィの核に傷がついているとライルから聞いたんだ。共に行動して距離が近かったせいで、漏れ出たエネルギーの影響を受けたのかもしれぬな。」

「え?じゃあママにくっついてたら僕もパパみたいに超イケメンになれる?」

 ミケーレが質問をする。それに答えたのはライルだ。

「多分、それは、無理だよ。アンジェラは元々上位覚醒間近だったんだと思う。そこにリリィのエネルギーを浴びて、上位覚醒が加速したんだ。」

「え?アンジェラも上位覚醒したってこと?」

 リリアナが興味深そうに言った。

「多分、そうだと思う。プラチナブロンドは上位覚醒の時に必ずなるんだと思う。」

 ライルがそう言うと、マリアンジェラが首を傾げた。

「えー?じゃライルはどうして普通の金色なの?」

 ライルはニヤリと笑った。そして変化した。

 やはり、190cmを軽く超える身長に、深い海の様な碧眼がキラキラと宝石のように反射し、髪は元の長さと変わらないが、プラチナブロンドでサラサラな感じだ。

「だ、誰???」

 アズラィールと左徠が目を点にして固まっている。

「驚かれるのが嫌で、元の姿に変えていたんだ。学校も行ってるし、もうデビューしちゃってるしね。」

 皆、ため息を漏らした。顔のベースは同じだが、特殊なメイクでもしているかのように見える。とにかく美しいのだ。

 そこで、ミケーレが手を挙げて質問した。

「マリーは?マリーもそれなの?」

「僕はそうだと思っているよ。核の色が違うんだ。」

 そう言ってマリアンジェラの胸元に手を当てて、透かして見せた。透明な丸いガラスの中に真珠の粉でも入れたかの様な光る液体の様な物が動いてグルグルと波打っており、金色の淡い光が発せられているのだ。

 アンジェラの核も同じようにライルが見せると、みんなため息をついた。

 核が大きい、そして、青い色をベースに白い真珠色の液体が混ざり、青色の淡い光が発せられている。そして、ライルはリリィの核も見せた。金色のラメでも入っているかのような彼女の核は、アンジェラに比べ小さいが、そこからものすごいたくさんの金色の光が出ている。まるで太陽を体に入れている様だ。ライルは一言付け足した。

「リリィのこれが、漏れてるやつな。この状態で生身の体に入ると、多分制御不能で仮死状態になる。出ることもできないと思われる。絶対に気をつけろよ。」

 そう言った後、ライルは元の姿に戻りながら言った。

「とにかくこの姿、目立つのが欠点だな…。」

「目立つ?」

 マリアンジェラが聞いた。

「あぁ、マリー。そうだよ。お前は同じくらいの大きさの子供を全員並べても、きっと一番かわいいさ。そう言うのを目立つっていうんだ。」

 アンジェラがそういうと、マリアンジェラは嬉しそうに頷いた。

 リリアナがアンドレの核を確認している。

「本当ね、前に見た時はアンジェラもこれと同じような感じだったもの。」

 アンドレの核は濃い青色のビー玉のような感じで、ほんのり青い光を発している。

 アンジェラがこの話はおしまいとばかりに言った。

「上位覚醒と言っても見た目が変わるばかりで、できることが増えなければあまり意味のないことだがな…。」

 今のところ、リリィを欲情させる以外に使える能力は無さそうだからね…。

 そう脳内で呟いたのは、ライルだ。なんだか双子の兄妹としては虚しい状況だ…。


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