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357. VACATION(4)

 途中、観光名所のセブンマイル・ブリッジを通り、古い橋を横目で見ながら、パーキングで一度車を停めてもらい、ホースショアビーチで神秘的な景色の中散策した。

 アズラィールと左徠はまるでライルとマリアンジェラのカメラマンだ。

 アンジェラはリリィとミケーレの動画を撮りまくり、リリアナとアンドレは家の前の海とはまるで雰囲気の違う景色にご機嫌でいちゃいちゃしている。


 マリアンジェラの希望が叶い、ライルは散策中は手を繋いで気遣ってくれていた。

 ミーハーな左徠は本人の許可を得ずSNSに投稿しまくり…。

 数分後には今まで見たことのない『イイネ』をもらい浮かれ気味だ。


 キーウェストに到着したのは午後2時過ぎ、少し遅い昼食をシーフードレストランでとり、その後、観光地である有名な文豪のかつて暮らした家で現在は博物館になっているところに行ったりした。この博物館の収益は、現在もその家で暮らす当時の猫の子孫のエサ代になっているとガイドさんが言っていた。

 最後に公園になっている場所を30分ほど食べ歩きをしながら散策した。

 アンジェラも途中からはライルとマリアンジェラの動画を撮りまくっていた。

 もしかして、また仕事で使うつもりじゃ…?とちょっと不安に思うリリィだった。

 そうは言っても、芸能人は自分のプライベートの一部を切り売りするような商売だ…。

 街の中ではあっちこっちでキャーキャーと騒がれ、スマホで撮影など当たり前だ。


 それでも楽しいひと時を送れた。

 特にライルの方ばっかり向いているマリアンジェラには楽しい時間だったようだ。

 午後6時に車に戻り、皆車の中で爆睡しているうちにホテルに戻った。

 午後9時、マリアンジェラとミケーレはそのままベッドへ…。

 大人たちは、つまみと美味しいお酒と普段できない様な会話へとシフトしていく。


 アズラィールがリリィに質問をする。

「リリィはさ、僕が日本に来た時には、ライルの中にいたわけ?」

「いた、ね。」

 リリィが答えた。

「ふーん。」

「じゃさ、あの傷治したりする能力ってのはライルの?それともリリィの?」

 それにはライルが答えた。

「僕は、他の人の能力をコピーする能力しかないんだと思うよ。」

「ということは、リリィの?」

「あ、それは違うと思う。治すのは父様ので、体の中に手を突っ込むのがリリィの能力だよ、きっと。だって、壁でも鉄でも、岩でも触れている間は通り抜けることができるんだ。」

「すっげー。」

 左徠が感心する。左徠は未だ能力は覚醒していない。そこで、またアズラィールが質問攻撃だ。

「で、いつからライルの中にいたの?」

「僕が3歳の時だよな…。リリィはすでに14歳で…。」

 リリィの中の何かが『ピキッ』という音と同時に変わった。

「え?どうして双子なのに3歳と14歳なの?」

 リリィが疑いの目でライルを見る。アンジェラが口を挟んだ。

「リリィ、こっちにおいで。リリィはね、14歳の時に僕のところにしばらくいたんだよ。でも、ライルを助けたいって言って、その時に交流のあった3歳のライルのところに行ってしまったんだ。」

 腑に落ちない様子だが、アンジェラの膝にのってアンジェラの話を聞くリリィだった。

「私が自分で行ったの?」

「そうだよ。私のために…。私の家族になるために…。私を愛してくれるために…。」

 なんだか話が重くなってきたところで、ライルが横槍を入れる。

「あ、でも…想像でしかないけどさ、アンジェラのためだけじゃないよ。僕を孤独から救おうとしたんだ。いつも鏡を見たらリリィが見えた。その時から寂しくなかった。」

「そっか…。」

 自分で自分の記憶を消したのに、記憶を探ろうとするリリィだったが、消してしまっているので、その後の状況しか知り得ないのだ。


 結局アンジェラとリリィがいちゃいちゃしだし、アズラィールが酒に飲まれ、左徠がSNSをチェックしだしたところで、リリアナの爆弾発言が出た。

「ちょっと、左徠…。君…今日のライルとマリーの動画をSNSにアップしたわね?」

「え?ダメなの?どうして?別にいいでしょ、親戚だし。楽しい旅の思い出だよ…。」

 段々声が小さくなっていく左徠…大丈夫なわけないよね。

 その時だ、ライルのスマホに着信があった。

 ウィリアムからだ。

「もしもし…。」

「あ、ライル?明日、良かったらうちのリゾートに来てくれないか?最高のおもてなしをするからさ、朝10時に迎えに行くから、準備しといて。何人でもいいからさ。」

「ウィリアム、僕は…」

『行かない』と言いかけた時に電話が切れた。折り返しかけても電話は通じなかった。

「くそ、強硬手段に出たな。」


 メッセージで、『行かない』と送ったが既読にならなかった。

「やられた。確信犯だ。」

 そして、結局ライルは翌日にウィリアムの祖父が経営するリゾートにに訪問することになるのである。

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