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356. VACATION(3)

 午前中はさすがにプールに入る気にはならず、部屋の中でゲームをして過ごした。

 午前10時、左徠はミケーレに捕まり、ずっとチェスの相手をさせられている。

 しかも最初からずっとミケーレが勝ち続けている。あれ?左徠も医大出てたんじゃなかったっけ?チェスとかしたことなかったのかな?

 とにかく三歳児に負け続けるのは悔しいらしく、何度もやっている。

 しかし、さすがに10連敗の後、アズラィールに交代してもらっていた。

 ははは、アズラィールも負け続けそうだ。

 それを横目で見ていたアンジェラは嬉しそうに言った。

「やはりミケーレは将来私の後を継ぐにふさわしいな。」

 ミケーレは嬉しそうにアンジェラを見て笑った。自慢の父に褒められて自信も持てることだろう。ミケーレの天使の能力は未だ不明の部分が多いが、人としての知能はずば抜けていると思う。普通にアンジェラに似たのだろうけどね。


 もう一方の娘ときたら、アンドレを捕まえて、ゲームをしていた。

 ツイス〇ーという肉体派ゲームだ。同じチームのメンバーにルーレットを回してもらい出た色と同じサークルに触り、変な体勢になりつぶれたら負けというやつだ。

 アンドレは体が硬い。いくら剣術に長けていても、こういうゲームにはあまり優位性がないのである。しかも、マリアンジェラは途中から大きく変化した状態でやっていた。

 マリアンジェラの身体能力はすさまじい。電池切れにさえならなければ最強だと思う。

 アンドレの腕がプルプルしだした。リリアナが笑いを堪えるのに必死な面白い顔をしている。

『べちょ』という音がしそうな感じでアンドレが潰れた。

「にゅ?終わっちゃった?」

 マリアンジェラがリリアナに聞く。

「うん、マリーの勝ち~。3連勝。すごいね。」

 僕が見ていることに気づいたマリアンジェラが僕に近づいてきて言った。

「ライル、これ一緒にやろ。」

「え、いいけど。一回だけね。」

「うん。」

 そう言ってやり始めたのだが…マリアンジェラはわざと僕の体の上や下を通ってサークルに触ろうとする。さっきのアンドレとやってるときとはずいぶん違う気がするが…。

 身の危険を感じ、早々に潰れてギブアップすると、マリアンジェラが小さくガッツポーズをして僕に言った。

「じゃあ、負けた人は勝った人のお願いを1つ必ずきくんだよ。」

「え?そんなの聞いてないよ。」

「そういうルールだもん。ね、リリアナ?」

「そう、そういうルールで始めたの。だからライルもマリーのお願い1つ聞いてあげて。」

「えー…。」

 アンドレにはあとでスーパーにアイスをボックスで買いに行ってもらうとお願いしたらしい。まぁ、それくらいならかわいいもんだ。

「わかったよ。で、お願いってなに?」

 僕が聞くとマリアンジェラが満面の笑みで言った。

「マリーのこと、ライルの恋人にしてくれる?」

「そ、それは…。」

 僕が困っていると、リリィが助け船を出してくれた。

「マリー、伯父さんと姪は恋人にもなれないのよ。」

「しょんな…。うっ。」

 泣きそうなマリアンジェラに、今度はリリアナが援護射撃をする。

「別に本当の恋人じゃなくてもいいじゃない。恋人のふりとかだったら…。」

「リリアナ、そういうことをするとマリーが期待しちゃうじゃない。」

「ふりってなあに?」

 マリアンジェラがリリアナに聞いた。

「あ、恋人のふりってのは…、恋人じゃないけど、他の人には仲良く見えるように行動するってことよ。手を繋いだり、笑い合ったり。」

 そこへアンジェラが近づいてきて口を挟む。

「マリー、別に恋人になんかならなくても、ライルが今一番近くて大切に思っているのはマリーなんだから、それで十分じゃないか?」

「そうなの?」

 マリアンジェラが僕を見て聞く…。

「うーん、確かに一番近いのはリリィだけど、同じくらい近くて大切だとは思っているかな…。家族としてだけど…。」

「じゃ、お手々繋いだりしてくれる?」

「いつも繋いでるだろ?」

「そっか…、じゃあ、今日一日大きいマリーと一緒にお出かけして。」

 僕はアンジェラの方を見た。

 アンジェラは少し考えているようで、数秒の間があったが言った。

「二人きりだと危ないから、皆でキーウェストまで遠出しないか?

 行った先で手を繋いだりするくらいなら構わないだろう。」

 それに食いついたのはアズラィールと左徠だった。

「アンジェラ、今すぐ用意しないと、時間が無くなっちゃうぞ。車はどうするんだ?」

「アンジェラ~、僕も行きたい~。」

 アンジェラはフロントに電話をかけ、車を用意させた。

 ドライブと言っても運転手付きの長い車体のリムジンだ。赤ちゃん達はホテルが手配したベビーシッターたちに預けられた。

 思い立ってから15分後には出発だ。

 大きくなったままのマリアンジェラに、昨日リリィが着ていた水着と色違いの紺色の水着が用意された。リリィは色違いのオレンジを着るらしい。

「足りないものがあれば、後から取りにくるから、行こッか…。」

 そうリリィに言われ、左徠はシュノーケリングの道具を一カ所にまとめて置いた。


 そんなこんなでVACATION二日目はキーウェストへのドライブとなった。


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