337. 絵本の内容(4)
次にアンジェラが手に取ったのは、濃い緑色の表紙の『双子の天使たち』だ。
最初のページは金髪の短い髪に大きな翼を持つお父さん天使と長い透き通るような銀髪ですらっとした手足のお母さん天使に抱かれる二人の小さな翼のある赤ちゃんの絵だ。
そこにはこんな言葉が書いてあった。
『天使の子には必ず1つの祝福が与えられる。それは、双子で生まれた天使にのみ与えられる。』
そして次のページ。1ページに1つずつ能力が描かれていた。
空を飛ぶ天使の絵と言葉。
『翼で空を飛ぶちから』
目が赤い人の絵と言葉。
『人や動物の心を操るちから』
荒れ狂う海に浮かぶ船の先端で両手を広げる人の絵と言葉。
『嵐を鎮め、天候を操るちから』
半透明の体の人の絵と言葉。
『一瞬で駆けつけるちから』
動物に触っている人の絵と言葉。
『傷を癒すちから』
黒塗りの人型と絵と言葉。
『時を超えるちから』
顔の半分を片手で覆った絵と言葉。
『未来を知るちから』
他の人の額に手を当てる人の絵と言葉。
『記憶を読むちから。』
目を瞑った人の顔の絵と言葉。
『夢を見せるちから』
動物の正面に向かい合って座る人の絵と言葉。
『心で会話するちから』
いくつかの種の動物の絵と言葉。
『姿を変えるちから』
重なるように二人の人が描かれている絵と言葉。
『別の者の中に入り込む能力』
更にページをめくるとリリィにそっくりな天使が翼を広げもう一人の大きな男の天使の片手を引っ張り持ち上げている絵が描かれている。
『そして、愛のちから』
その次のページが最後のページだった。
『愛のちからを持つ天使がこの星を救う。』
多分…地球だと思われる星の絵が描かれている。
「あのさ、パパ。」
「なんだ、ミケーレ。」
「さっきの『愛のちから』ってとこの絵って、ママとパパに似てるね。」
ジッとアンジェラを見つめるミケーレの目を見つめ返して、アンジェラが答えた。
「そうだな、でもお前にも似ているぞ。」
ハッとした様子のミケーレ、そして満面の笑みだ。
「ほんとだね…ふふふ。」
その時、ライルが言った。
「普通は一つしか能力が与えられないってことか…。」
「絵本によるとそうなっているな…。」
「翼だけ一カウントかぁ…。」
リリィがなんだか残念そうに唸った。ライルがリリィの言葉にかぶせるように言う。
「じゃ、二つでもすごいって事だね。」
「そうだな。」
アンジェラも同じ意見の様だ。
「この絵本って、あっちの世界にもあるんでしょうか?」
ブラザーアンジェラが口を開いた。
「私はあると思っている。」
アンジェラが頷いて、同意した。
「し・か・も、これで全部とは限らないよね。」
リリィが言った。
「マリーもそう思ったぁ~。」
お前、そこにいたんかい…という表情でミケーレの脇から頭をにゅっと出し、絵本を覗き込むマリアンジェラをアンジェラが見た。
「にゅ?パパもそう思うでしょ?」
「あ、あぁ。そうだな…。」




