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309. 真夜中の侵入者

 その日の夜、寝る準備が整った頃、リリィがアンジェラに今日の天文学の助教授が教えてくれたことについて、気になることがあると言い始めた。

 ベッドにゴロゴロしながら、昼間の話を振り返るように確認しながら話す。

 ついでに、ライルの日記にも記入する。

「カルロ・レオーネ氏…、親切だったね。」

 日記に書きながらリリィが言うと、アンジェラも首肯した。

「そうだな、何の関係もない私達に親切に教えてくれたことはありがたいな。」

「うん。アポフィスが最接近するのは2029年4月13日か…。あと2年。」

「ん…。まぁ、今のところ判っているものは…ということだからな。参考までに聞いておいて損はないだろうが…。」

「ね、アンジェラ。2031年の彗星ってのも、4年後だね。もし軌道が変わったりしたらと思うと怖いね。」

 たかだか直径340mの小惑星でも、時速54,000kmという超高速で移動しているものがぶつかった場合の衝撃は大変なものだろう…。海に落ちれば、津波も起き、陸にぶつかれば、巨大な穴が開き、都市部であれば壊滅的な被害が出るだろう。

「なぁ、リリィ。私は『星降る夜』という言葉が気になるんだ。イメージとしては一つの小惑星というよりは、たくさんの星が落ちて来そうではないか?」

 言われてみれば、確かに最初はそんな想像をしていた。根本的に今回教えてもらった小惑星とは関係ないのかもしれない。

 それに、現代なら、スーパーコンピュータが割り出した計算で、ほぼ正確に小惑星の軌道も確認できるはずだ。

 もっと違う可能性も考えた方がよさそうだ。

 日記を書き終え、ベッドの横のサイドボードの引き出しにしまい、照明のスイッチを切った。


 ベッドに入って目を瞑ると、アンジェラに抱き寄せられた。

 なんだかちょっと恥ずかしい…。少し緊張した感じでいると、アンジェラが聞いた。

「イヤか?」

 僕は首を横に振ってすぐに言い返した。

「イヤじゃないよ…。ちょっと恥ずかしいだけ…。」

「リリィ。」

「なぁに?」

「呼んでみただけだ。」

「ほぇ?」

「なんだか、マリーと同じような反応だな。」

「えー、幼稚ってこと?」

「いやいや、かわいいってことだ。」

「うそだ、目が笑ってる。」

「リリィ、真っ暗で見えないだろう、目なんか…。」

「あ、あれ…暗いけど、かなりはっきり見えるよ。ヤダー、また変な能力が増えてるし~。」

「もしかしたら、トラとかに触ったら四つん這いで高速走行とかできるようになったりするのか?」

「もう、やめてよ…そんな、仕込みのネタみたいな能力は要らない。」

「そう言わず、私の目を見ておくれ…。」

 じっとアンジェラの目を見つめていたら、キスされた。

「ん…。ちょっと待った。」

 暗闇で神経を研ぎ澄ませていたら、クローゼットの先の倉庫の方で物音がした。

「倉庫の中で物音がした。」

 二人でそーっと倉庫へ向かう。そして、一気に照明をつけた。

「あ?あれ?瑠璃リリィとアンジェラ?」

 床にへたり込んで座っている別の世界の瑠璃リリィとアンジェラがそこにいた。

「君たち、そこで何をやっているんだ、こんなに遅い時間に…。」

 アンジェラはちょっといい雰囲気だったのに邪魔されて少し機嫌が悪くなっていた。

「あ、あの~、助けてもらいたくて、訪ねてきたの…。」

「すまない、夜分に…。だが、もう時間に余裕がなくて…。」

 リリィとアンジェラは二人をダイニングに連れて行き、とりあえずお茶を出し、話を聞くことにした。


 時間は深夜0時30分。

 少しセンスの悪い服装のアンジェラと、14歳のJC瑠璃リリィが、お茶をすすりながら、こっちにきた理由を説明し始めた。


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