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307. 強靭な肉体

 午前10時頃には散策を終え、皆家で好きなことをして過ごす。

 ミケーレはお絵描き、マリアンジェラは…今日はなぜか家中をホフク前進中。

 それを廊下で見かけたアンドレは思わず突っ込みを入れてしまった。

「マリー、家中の床を掃除しているのか?」

「え?どういうことよ。」

「多分だが、埃とか、ダニとか、色々なものが君の体に付着すると思っただけだ…。」

「うっひょ~、まじえもん?」

「…まじえ…マジだ。」

 そこにアンジェラがやってきて、マリアンジェラを回収して行った。

 当然風呂に入れられ、着替えさせられている。

「マリー、いくら床が綺麗に見えてもホフク前進はやめてくれ。」

「あい。ごめんちゃい。」

「今日は午後二時からライルの撮影があるから、一緒に行くか?リリィも一緒なら連れて行ってもいいぞ。」

「やったー。行く行く。パパ大好き。聞いてくる。」

 マリアンジェラは大はしゃぎで、ライルの元へ…。

 自分の部屋で読書中のライルに突撃をして、からのお願い。

「おじゃまします。」

「ん、どうしたの?」

「あの、えっとぉ、今日の撮影いくでしょ?」

「うん、二時からね。」

「パパがね、ママも一緒だったら連れて行ってくれるって言うから、ママとライルが別々になって行ってもいい?」

「あ、そういうことね。じゃ、出るね。」

 ライルの体がキラキラに包まれて幽体離脱のようにキラキラがその場で立ち上がった。

 元の体がキラキラに覆われ、リリィに変わる。

「今のうちに出掛ける準備したらいいよ。」

 出てきたリリィにライルが話しかける。

「あ、うん。いいの?」

「え?何が?」

「融合しいる時の方が落ち着くというか、心地よいと言うか…。」

「大丈夫だよ。それに撮影の時に怪我したりしたら大変だからね。最初から一人で行くつもりだったんだ。」

「わかった。じゃあ出かける準備してくるね。」

 久しぶりの撮影同行である。ちょっと楽しみなリリィとマリアンジェラであった。


 二時間後、撮影の少し前に現地入りする。ローマの会社の事務所に転移し、そこからロケバスで移動した。

 そこは、屋外のバスケットボールのプレイグラウンドだ。

 ライルが用意されている衣装といってもタンクトップと短パンに着替えると、リリィが聞いた。

「今日の撮影って何かのCM?」

「確か、スポーツドリンクだよ。」

「ライル…汗出ないんじゃないの?」

「あ…、そうだ。こういうのは汗かかないと不自然だよな。」

「ね、脱いで。私が出るから、一回こっちに入って。」

 二人は融合してからライルの姿になった。リリィの服のままライルになってしまった。

「あ、ヤバい。」

「早く脱いでよ。」

「きつくて脱げない。」

「一回リリィになって、脱いで…。」

 二人はプチパニック状態だったが、意外に冷静だったのはミケーレで、大事なところはタオルで隠してくれていた。

「リリィ、慌てなくても大丈夫だよ。」

 アンジェラが半笑いでリリィに声をかけた。

「だって…。」

 どうにか着替え終わり、ロケバスの外にいた衣装担当のスタッフに髪などを整えてもらう。

 激しく動くため、サイドを編み込んでピンで留められた。

 相変わらず、長髪のままなので、それは致し方ない。


 撮影機材の準備ができたので、撮影に入るところで、問題が発生した。

 バスケットボールを一緒にプレイするはずのエキストラの都合が悪くなったらしい。

 アンジェラが監督に、「相手はうちの子でもいいか」と確認し、ロケバスに戻ってきた。

「マリー、今度徠神のお店で好きなだけケーキを買ってやるから、14歳の大きさになって、この予備の短パンとタンクトップに着替えて撮影に参加してくれないか。」

 マリアンジェラはリリィの方を見た。

 リリィはアンジェラに言った。

「家に戻ってスポーツブラとパンツ持ってくるね。そのタンクトップだと乳首が見えそうだもの。」

 アンジェラ、赤面中。

「お、おう。頼むよ。」

 リリィはすぐに戻ってきた。

「マリー、こっち来て。」

 小さいマリーにスポーツブラとパンツを履かせてから大きくなるように言った。

 みるみる大きくなる。下着の上に衣装を着て、髪はポニーテールにして結ぶ。

「ねぇ、パパ。マリーは何すんの?」

「監督さんがこうしてくださいって言うからよく聞いて、その通りにやってみてくれるか?」

「おっけー。」


 監督にライルがドリブルからのシュートをするので、ボールを横からカットしてくださいと言われた。

「カットってスパッと真っ二つにすればいいの?」

 マリアンジェラがアンジェラに聞く。

「マリー、ボールは切っちゃダメだ。ここでいうカットは、じゃましてごーるさせないと言う感じだ。いいか。」

「うーん。やってみる。」

 少し打ち合わせた後、リハーサルが始まった。

 ライルがドリブルシュートの練習をし、マリアンジェラはとりあえず見ていた。

「ボールが輪っかに入らないようにはじくんだぞ。」

「わかった。」

 じゃ、もう一人、入ってください。

 カメラを回さずにリハーサルが始まった。

 ドリブルからのシュート、そして…マリアンジェラがジャンプし、ゴールに手をかけ上半身持ち上がってからのまるでスマッシュ。

『バシッ』

「およ?うまく行った?だめっぽい?」

 その場の全員が口をアングリ開けたまま固まっていた。

「マリー、登っちゃダメだ…。」

「う、ダメだったか…。」

 異常な身体能力ではあろうと以前から思っていたが、さすがに公開するつもりはない。

 結局ライルがこんな感じ、とやって見せたとおりにマリアンジェラも動くことで撮影は無事に終了した。

 マリアンジェラはあくまでもエキストラなので、後ろ姿、ぼやけた横顔、足だけ、手だけみたいなカットばかりだったが、監督はえらく気に入った様で、またお願いしたいと本気でお願いされてた。

 撮影が終わった後も、マリアンジェラとライルがしばらくバスケをやっていた。

「うっひょ~、面白い、バスケ、楽しい。」

「マリー、もう無理…死ぬ。汗が噴き出る。」

 先に音を上げたのはライルだった。

「こんなの見られたら、プロにスカウトされちゃいそうだな…。」

 アンジェラがポツリと呟いた。汗は少しかいているけれど、疲れた様子は全くない。

 朝から家中をホフク前進していたのは、今朝の事だ。

 すごいな、マリアンジェラ。リリィも実は力はすごい強いんだけど、そこに似たのかな?

 マリアンジェラはストレス解消になって楽しかったようだ。


 撮影が無事終わり帰宅後、マリアンジェラがパパを連れて、徠神のお店でパスタを三皿とケーキを10個以上食べたのはまた別の話だ。

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