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281. まさかそんなことが

 アンジェラはリリィの体をベッドに寝かせると、すぐにリリアナに電話をかけた。

「リリアナ、すまない、すぐに来てくれ、リリィが大変なことに…。」

 リリアナは一瞬で転移してきた。

「アンジェラ、これはどういうこと?」

 体を触り、状況を確認するまでもなく、死んでいるように見える。

 アンジェラは自分が言ってしまった一言でリリィが自分はここにいちゃいけないと言って消えたことを説明した。

「アンジェラ…馬鹿ね。あんなに愛していたはずのリリィにそんなこと言うなんて…。」

 リリアナはこのままだと体がダメになると言い、封印の間へリリィの体を運んだ。

 リリアナが戻ってきた時にアンジェラに衝撃的な事を告げた。


「さっき、リリィの体から記憶をもらったの。あなた、リリィとライルの人格が分離して別になったって聞いたのよね?」

「あ、あぁ聞いたが、どういう意味か分からなかった。」

 リリアナは続けた。

「小さいライルの分身体、死にかけてたでしょ?あの子のせいよ。

 あの子、ライルから記憶を見る方法を教えてもらった時に、自分のこれから先起こることをライルの記憶から見ちゃったの。そして、あなたに反抗心を持った。

 男の子のライルに、いい大人の男が、死にたくなるくらい恋焦がれて、その度に男の子が自分を犠牲にするのを、愛する気持ちが芽生える前に見たのよ。あなた直接言われたでしょ?

 あなたの事、好きになるかどうかわからないみたいなこと…。」

「そう言えば、教会の地下に行くときにそんなこと言われた気がするけど、何のことかわからなかった。」

「その記憶や気持ちごと、核と一緒に回収しちゃったのよ。小さいライルがあなたの事を否定する気持ちをね。」

「それとこれは何か関係があるのか?」

「愛する気持ちと、否定する気持ちが同居できなくなった。だから小生意気な少年ライルと、あなたの事を愛してすべてを捧げてきたリリィに分離したんだと思うわ。」

「でも、じゃあそう言ってくれれば…。」

「本人だって混乱してるのよ。元々あなたはライルを愛しているんでしょ?」

「…。」

「ライルはあなたの愛を受け入れるためにリリィに体を変えることができるように自分を変えたんでしょ?」

「…。」

「きっとライルじゃなく、リリィとして愛して欲しかったんだわ。可哀そうなリリィ。

 あなたとの子供をもっと欲しいと思って、もう腐敗し始めてそうなライルの体に戻ったのに、こんな終わり方悲しすぎる。」

 リリアナが珍しく涙を堪えきれずにぐちゃぐちゃになっている。

「こんな、終わり方…?」

 アンジェラは今やっと理解した。終わったんだと。自分の今までの100年以上をかけて愛してきた唯一の存在を自分で壊したのだと…。まさか、そんなことが…。

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