247. 少しだけ特別な週末
遊園地での撮影を終えた後は午後三時からのショッピングモールでのスニーカーのCM撮影の予定だ。
リリアナとアンドレが合体できなくなっているため、アンドレは今回変装をしている。
黒縁眼鏡をかけて、髪は後ろでサムライのように一つにまとめている。
子供連れなので、どうしても二人に頼らざるを得ない事が多く、申し訳ない。
撮影している人たちと手配された車でショッピングッモールへ移動したのは午後二時半ころだった。
ショッピングモール内のあちらこちらに撮影用にテープが張られ、進入禁止になっている箇所があった。
「アンジェラ、スニーカーの撮影もマリーが一緒なの?」
「どうだろう…現地で話すと言っていたんだが、同じプロデューサーだからな、出される可能性はあるよ。」
「そうなんだ…。」
結果として、マリアンジェラも少しは登場した。でも絡みは殆どなかった。
さっきの撮影とは違う服を着て、シチュエーションに合ったシューズを履いてひたすらそのシチュエーションに合った動きをするだけ…。
スニーカーじゃなくてスポーツシューズも何足かあった。
バスケットボールにテニスに、ランニングに買い物。
普段あまり体を動かさない自分には、明日の筋肉痛が大変だろうな。
どうにか無事撮影を終えた僕たちは、次の日の夕方までフロリダで過ごした。
ホテルのプールで子供達と水遊びをしたのがすごく楽しかった。
そういえば、アメリカの家にはせっかくプールがあるのに、フロリダと違って、あそこはもうプールという季節ではないな。
大きい女の子の状態のまま水着で遊ぶマリアンジェラは他の宿泊客からもとても注目されているようで、一緒に写真を撮って欲しいと言われるたびに、リリアナが断っていた。
自分の娘でなければ、完全にドストライクの容姿である。
まぁ、こんなことはアンジェラには口が裂けても言えないけど…。
ライナとミケーレのちびっこ達も水着で遊ぶのは気に入ったみたいで大はしゃぎだ。
小さい子向けの滑り台の付いたプールやイカダの上を歩くものまで、子供が好きなものが用意されている。
さすがに子供一人では危ないので、毎回僕が一緒にやるわけだが…二人の楽しそうな笑顔を見ていると癒されるよ。
アンジェラはプールに入るのはいやなのか、短パンとアロハシャツみたいな格好でサングラスをかけて、日光浴に専念している。と言っても僕たちは基本的に日焼けはしない。
それにしても短パンとアロハシャツがこれだけ似合わないお父さんは見たことがないな。
普段とは違い解放された雰囲気で楽しむことができた。
アンジェラにはあとでこっそり似合わないって教えてあげよう。




