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221. 週末の過ごし方

 9月6日、日曜日。

 どうやらアンジェラは子供達と遊園地に連れて行くと約束していたらしい。

 ミケーレが「ママと一緒がいい」と言ったので、日曜日に行くことにした、と昨日の夜に聞いた。もっと早く言っておいてよ~。


 フランスのねずみの国遊園地にアンジェラ、アンドレとリリアナが合体したジュリアン、リリィになっている僕、マリアンジェラとミケーレ、そしてライナで行った。

 一番近いアンジェラ所有のフランスのビルの空き室に転移して、そこからタクシー2台に分かれて乗った。朝、8時半現地に到着した。


 今日は疲れないように子供たちはベビーカーの乗って移動だ。

 双子用のベビーカーと一人用のベビーカーに乗って、「ぞうさんに乗る~」と大騒ぎのマリアンジェラだった。

 ミケーレは渡した場内MAPをじっくり読んでいる風で、逆さまだったりする。

 ミケーレもマリアンジェラもフランス語はわからないので、日本語のMAPを見ている。


「船、船、ふね~。」

「トレイン、トレイン~。」

 ちいさい子は激しい乗り物に乗れないため、無難な乗り物に乗って、後はレストランで食事をしたり、ショーを見たり…。でも途中で、自分たちが見世物みたいに囲まれていることに気づき、遊園地デビューは3時間ほどで終了となった。

 ライナとマリアンジェラはプリンセスが気に入ったらしい。


 結局、移動に時間が結構かかってしまい、日曜日はあっという間に一日が終了した。

 皆、晩御飯を食べた後は一瞬で眠りについた。


 9月7日、月曜日。この日はアメリカの祝日。

 学校がお休みなので、僕は家でダラダラしていた。

 まだ数日しか学校に行っていないが、拘束時間が長いせいかすごく疲れる。

 暇だったせいもあるが、することがないので、サンルームでピアノをずっと弾いてた。

 キラキラも全開で弾く、これを出さないようにするのがめちゃくちゃ大変だったんだよね。

 ピアノに没頭してしまい、気づいたら二時間も経っていた。あっという間にお昼だ。

 書斎でオンラインミーティングに参加していたアンジェラがサンルームに来た。

「リリィ、ちょっといいか?」

「うん。何?」

「ライルのCMなんだけどな、もうあれでオッケーらしいんだ。」

「あ、そうなんだ…。一回で終わってよかったね。」

「そうだな、悪かったな。無理言って。」

「嫌だけど、仕方ないよ、アンジェラの面子もあるんだったら、少しは協力しないと…。」

「ありがと。今日は、みんな徠神の店で夕食まで食べてくるって言ってたぞ。」

「そうなんだ…。じゃ二人だけ?」

「あぁ、おいで。」

 ん?おいでと言われてついて行ったけど…もしや、真昼間から?と思ったら、全然違った。

 クローゼットの壁に埋め込まれている金庫から、僕の名義の通帳を出してくれた。

「何かあったら困るからな、リリィ名義とライル名義で通帳を作ったんだ。私の財産をそこに移すと税金がかかってきてしまうから、とりあえずは、仕事をしてもらったらそこに報酬を振り込んでいくよ。いいかな?」

「うん、ありがと。」

「今まで通り、カードはいくらでも使って構わないが、ライルの時はカードも使えないだろ?」

「そうだね。」

「現金はドルとユーロで、ここにある程度置いておく。金庫の指紋認証に登録をしておこう。

 私がもし死んだら、リリィとミケーレとマリアンジェラとアンドレに均等に財産を相続させることになっている。担当する弁護士の連絡先は金庫の中に置いておく。いいな。」

「いやだ、そんな死ぬときのことなんて言わないでよ。」

「一応、念のためだ。わかったか?」

「…。」

「心配するな。お前がいる限り私は死なないだろ?ふふっ」

 僕は少し悲しくなって、落ち込んでしまった。

 いくらお金があっても、アンジェラがいない世界は僕の生きる意味のない世界なんだ…。

「お前は優しいな…。おいで。」

 クローゼットの中でアンジェラが僕を抱き寄せて、頭を撫でる。


 二人しかいないので、お手伝いさんに今日の夕飯は要らないと知らせて、二人でユートレア城そばの、一度行ってみたかったレストランに行った。

 最近ではドイツ料理もずいぶん洗練されてきたとアンジェラが言っている。

 外から見ると狭そうだけど、中は割と広いお店だった。

 席に案内されると、お店の人がワインを一本サービスで持ってきてくれた。

 どうやら、ユートレア城の持ち主がアンジェラだとこのあたりの人は知っている様だ。

 そして、面白い質問をされた。

「アンジェラさんはアンドレ・ユートレア王の生まれ変わりですか?」

「はい?」

 どうやら、肖像画の情報も知っている地元民がいるらしく、あれは本人に間違いないと言われている様だ。

 アンジェラは微笑んでお店の人に言った。

「アンドレと私は別人ですよ。今度、本人を連れて来ましょう。」

「やめてよ、アンジェラ。パニックになるよ。」

「誰も本当の本人だなんて思わないさ。」

 おいしい料理を頂いて、ユートレア城まで散策しながら帰った。

 アンジェラはワインを飲みすぎて眠ってしまったので、ユートレアの王の間で休憩をした。


 午後7時、そろそろ家に帰らないとみんなが帰ってくる。

「アンジェラ、ほら、帰るよ。」

「あ、あぁ、眠っちゃったか…。」

「ほら、行くよ。」

「あぁ、すまん。」

 僕らは、ユートレアを後にした。

 アンジェラは、そのままベッドで寝てしまった。

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