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194. 答え合わせ

 お持ち帰り用のスィーツを入れてもらった容器を僕が持ち、アンドレにマリアンジェラを、アンジェラにミケーレを抱っこしてもらい、今度はお店の正面入り口から家に向かって帰ることになった。

「ねぇ、大丈夫なの正面から出て…。」

「あ、待って。」

 部屋を出る直前、慌ててリリアナがアンドレと合体しジュリアンになる。

 そうでした。アンジェラが二人いると大騒ぎになるところだ。

 帰り道、アンジェラにさっき考えてたこと、相談してみた。

「ねえ、アンジェラ。僕がしたことで、過去が変わったのはわかるんだけど、なんだか矛盾が多くて頭が混乱しているんだ。

 北山先生と父様が元々子供を作るような仲で、子供を捨てて留学ってのもずいぶんと飛躍している気がするし…。そんな悪い人じゃなかったよね?」

「未徠にライルと徠夢の関係については託そうと思っていたんだが、なんだか彼女との事が原因で家出と言うことになっているらしいからな…。」

「僕、それ今日知ったんだし、確かに真実であればかなり微妙だけどさ…。」

 本来、過去が変われば、記憶も変わるはずと思っていたので、自分たちの記憶が変わっていないことを考えると不思議としか言いようがない。

「赤い目を使って、本当の事を聞いてみようよ。何か秘密があったりして…。」

 アンジェラは未徠が立ち会ったうえでやるならいいと了承してくれた。


 朝霧邸に到着し、ミケーレとアンジェラが未徠にお土産を渡しに行って、事情を説明する。

 未徠は一応、徠夢が戻って来て、一緒に居るところで話合おうと言った。

 承諾するしかないだろう。

 暇つぶしにホールのピアノを弾くことにした。

 クラシックばかり何曲も弾いていた。ミケーレはお腹がいっぱいで眠いのか、うとうとしながらアンジェラにしがみついている。


 そこに徠夢が帰ってきた。

「ずいぶん大人数で来たんだな。」

 徠夢がそう言うと、アンジェラが口を開いた。

「ちょっと、お前とお前の妻に言いたいことと確認したいことがあるんだ。地下書庫で話そう。」

「わかった。留美を呼んでくる。」

 ジュリアンも未徠を呼びに行った。

 全員が揃ったところで、事実確認が始まった。


 僕が言うとまた父様がおかしくなりそうだけれど、今回は譲れないと思い、口を開いた。

「あの~、実は、僕、北山先生の事で家出したとかって思われてるようなんですけど、それ知ったの今日なんですよね。

 確かにイタリアに戻りたくて引きこもってましたけど、それとは関係ないというか…。それと、どうして生まれたばかりの子供を置き去りにして留学したとかのいきさつを教えてもらえないかと思って、今日来たんです。」

「ライル!」

 父様が立ち上がって怒鳴り声を上げたが、マリアンジェラが持ってきたお菓子を父様の口に無理やり突っ込んで口を封じた。すげー、やるなマリー、最強。すかさずお爺様が父様を座らせていたし。

 次に、アンジェラが口を開いた。

「昔、お二人はお付き合いをされていたんですか?」

「はい、二年間付き合っていました。」

 北山留美が言った後、徠夢が反論する。

「いや、そんなことはない。留学に行く前にどうしてもデートして欲しいと言われて出向いたら、気が付いた時にホテルで一人置き去りだった。」

 おや?なんだか聞いたことのあるようなお話ではないですか?

 今度は僕が赤い目で質問する。

「北山先生、誰かの指示で父様とデートをしたんですか?」

「瓶に入った蛇を持った女の人が来て、それで、デートの途中で睡眠薬の入ったコーヒーを飲ませました。」

「どうして産んだ後にわざわざ子供を置き去りにするために連れてきたんですか?」

「それも、あの蛇を持った女の人が、徠夢さんを困らせる必要があるって…。」

「それ、誰ですか?」

「徠夢さんの大学の女生徒で自分も徠夢さんに騙されたって言ってました。」

「あなた、徠夢に騙されたんですか?」

「あ、あの、いえ、同じ小学校、中学、高校で憧れてて、話したことはなくて…。」

「これ、今言ったこと本当だったら、詐欺事件ですよね。それで、どうして今回結婚することにしたんですか?」

「また、蛇持っている人が来て、ライルを殺すためにこの家に潜り込めって言われて。瓶に入った蛇を借りました。」

「あぁ、それを徠夢に使って、好きになるように仕向けたんですね。」

「蛇、今すぐ持ってきてください。」

 留美は黒い布で包まれた、蛇の頭が入った瓶を持ってきた。

 ライルがそれを手に取る。

「この蛇の持ち主は川上このみですね。」

 ライルは瓶の蓋を開けた。蛇は光の粒子になり霧散した。

「では、僕からの提案です。利用されたり騙されたのは癪でしょうが、いちばんハッピーなストーリーで行くことにしましょう。」

 ライルは赤い目で徠夢、留美、祖父母を見た。

「徠夢と留美は大学生の時付き合っていたが、喧嘩別れをした。その時妊娠に気づいたが、もう留学先だった。両親に告白もできず、一時帰国で子供を連れ帰り、徠夢に託した。留学はまだ終わっていなかったため、選択肢がなかった。北山先生の事件の解決を僕が行った時に再会し、もう一度やり直すことにした。」

 皆の目に赤い輪が光った。


「アンジェラ、どう思う?さっきのはライラの蛇だよね…。テロリストは発生しなかったと思っていたんですが…。」

 まだまだ調べる必要がありそうだ。


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