表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/696

174. 追いついた過去

 徠夢以外の家族は皆、瑠璃リリィが昏睡状態のまま目を覚まさないことの原因は徠夢にあることはわかっていた。頬に叩かれた手の痕があったからだ。

 脳の手術をした後でなければ大丈夫だったかもしれないが、相手は九歳の子供だ。

 どんな言い訳もできないだろう。


 瑠璃リリィのスマホは彼女の部屋に置かれたまま、時々母の留美がチェックしていた。事故から半年ほど経ったある日、瑠璃リリィのスマホにメッセージが来ていた。

『リリィ もう長い間来てくれないけれど、どうしているのか知らせてほしい。

 会いに行ってもいいかい? アンジェラ・アサギリ・ライエン』

「これって、瑠璃リリィが言ってた人じゃない?」

 留美は慌てて、義父未徠にスマホを見せた。徠夢では取り合わないと思ったからだ。

「留美さん、アンジェラ・アサギリ・ライエンが生きていれば、今130歳なんだよ。ありえないだろう。きっと、誰かの悪ふざけだろう。」

 未徠はそう言ったが、留美は確認したかった。

「お義父さん、私、確認してみます。何枚か写真を瑠璃リリィが撮ってきているので、比較はできますから。」

「あぁ、期待はしていないが、気のすむようにやりなさい。」

「はい。」

 留美は瑠璃リリィのスマホから、そのメッセージに返信した。

「あなたが本物のアンジェラさんか確認したいので、写真を送ってください。」

 すぐに返信が来た。保存されている写真より少し男らしくなってはいるものの、確かに同じ人物に見える。

 留美は、どうして瑠璃リリィを信じてあげなかったのかと、ひどく後悔をした。

 そして、こう返したのだ。

『劇場の火災の後、家で事故にあい、瑠璃リリィは脳に障害を負ってしまいました。現在自宅で介護中ですが、意識が戻る見込みはありません。このまま急に亡くなることもあると医師からは宣告されています。最後に一度会ってあげてください。 瑠璃リリィの母より』

 このメッセージの後に住所と電話番号を送った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ