148. 命の炎が消えるとき
私、朝霧徠夢は、自分の孫マリアンジェラと手を繋いだ状態で意識を自分のものとした。
「おい、何をしたんだ?」
「おい、じゃない。マリアンジェラ。」
「むぅ。マリアンジェラ、何をしたんだ?」
「ほんとうのこと見せてあげた。」
「…。」
マリアンジェラは徠夢の手をさっさと離し、スタスタとクローゼットの前まで行くと、クローゼットの扉を開けて、中からニワトリの卵ほどの大きさの小鳥をすくい上げるようにに持ち上げ、自分の頭の上に乗せた。
「パパが呼んでるから、行かなきゃ。」
「どこだ?アンジェラはどこにいる?」
「ん…びょういんってところ。」
「私も連れていけ。」
マリアンジェラは徠夢の事を無視してホールに転移すると、リリアナに聞いた。
「ママがいるびょういんに行っていい?」
「私も行きます。」
「あー、あの人も行きたいみたい。」
マリアンジェラが階段を下りてくる徠夢を指さした。
「…わかった。」
リリアナはマリアンジェラを抱き上げ、徠夢のいる場所へ翼で飛んで移動すると、徠夢の肩に手を置き一緒に病院へ転移した。
病室で泣き崩れるアンジェラと呆然とベッドに横たわる人物を見つめるミケーレ、そして後ろから肩を落としたまま握った手を震わせるアンドレがいた。
「どうしたの?パパ」
「マリー、リリィはもう…。」
アンジェラがそう言いながら、言葉に詰まったその横のベッドには、心配停止の状態で横たわるリリィの姿があった。
むなしく心拍が無くなった『ピーーー』という音を鳴らし続けるモニターと、アンジェラの嗚咽が病室に響く…。
その時、マリアンジェラが口を開いた。
「パパ、ごめんね。」
マリアンジェラはそう言ってリリィの手を握るとリリィと共に一瞬で消えてしまった。
同時に、その場でリリアナが気を失って倒れてしまった。
アンドレがリリアナを抱き上げる。
「リリアナ、お前まで…。」
想像はついていた、リリィの分身体ともいえるリリアナが本体が死んで生きていられるはずがない。
ミケーレがアンジェラに抱きついて小さい声で囁いた。
「もう、悪魔を使うしかないよ。」




