表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/696

148. 命の炎が消えるとき

 私、朝霧徠夢は、自分の孫マリアンジェラと手を繋いだ状態で意識を自分のものとした。

「おい、何をしたんだ?」

「おい、じゃない。マリアンジェラ。」

「むぅ。マリアンジェラ、何をしたんだ?」

「ほんとうのこと見せてあげた。」

「…。」

 マリアンジェラは徠夢の手をさっさと離し、スタスタとクローゼットの前まで行くと、クローゼットの扉を開けて、中からニワトリの卵ほどの大きさの小鳥をすくい上げるようにに持ち上げ、自分の頭の上に乗せた。

「パパが呼んでるから、行かなきゃ。」

「どこだ?アンジェラはどこにいる?」

「ん…びょういんってところ。」

「私も連れていけ。」

 マリアンジェラは徠夢の事を無視してホールに転移すると、リリアナに聞いた。

「ママがいるびょういんに行っていい?」

「私も行きます。」

「あー、あの人も行きたいみたい。」

 マリアンジェラが階段を下りてくる徠夢を指さした。

「…わかった。」

 リリアナはマリアンジェラを抱き上げ、徠夢のいる場所へ翼で飛んで移動すると、徠夢の肩に手を置き一緒に病院へ転移した。


 病室で泣き崩れるアンジェラと呆然とベッドに横たわる人物を見つめるミケーレ、そして後ろから肩を落としたまま握った手を震わせるアンドレがいた。

「どうしたの?パパ」

「マリー、リリィはもう…。」

 アンジェラがそう言いながら、言葉に詰まったその横のベッドには、心配停止の状態で横たわるリリィの姿があった。

 むなしく心拍が無くなった『ピーーー』という音を鳴らし続けるモニターと、アンジェラの嗚咽が病室に響く…。


 その時、マリアンジェラが口を開いた。

「パパ、ごめんね。」

 マリアンジェラはそう言ってリリィの手を握るとリリィと共に一瞬で消えてしまった。

 同時に、その場でリリアナが気を失って倒れてしまった。

 アンドレがリリアナを抱き上げる。

「リリアナ、お前まで…。」

 想像はついていた、リリィの分身体ともいえるリリアナが本体が死んで生きていられるはずがない。


 ミケーレがアンジェラに抱きついて小さい声で囁いた。

「もう、悪魔を使うしかないよ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ